原因
前頭側頭型認知症は、二つの異なる病気が含まれます。ひとつはピック病で、もうひとつはFTLD-U/ユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症です。前頭側頭型認知症では脳の一部に異常構造物が蓄積していることが知られていますが、両者の間では蓄積する異常構造物が異なります。
すなわちピック病では「タウタンパク」と呼ばれる異常構造物が神経細胞の中で「ピック球」という構造をとって蓄積していますし、後者のFTLD-U/ユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症では、TDP-43というたんぱく質が蓄積します。
蓄積する構造物は異なりますが、異常物が認められ、障害を受けやすい脳の部位は共通しています。すなわち、前頭側頭型認知症では、脳の中でも前頭葉と側頭葉として知られる部位に限局した神経細胞に障害が生じています。これらの部位にタウタンパク、ピック体、TDP-43、などと呼ばれる異常構造物が蓄積します。しかしながら、なぜこうしたタンパク質が蓄積するのか、どういった機序で最終的な細胞死に至るのか、といったことの全貌は明らかにはなっていません。
前頭側頭型認知症で障害を受ける前頭葉と側頭葉ですが、それぞれ脳の機能の中でも特徴的な性格を有していることが知られています。前頭葉と前頭葉は感情のコントロールや理性的な行動、状況を把握する機能を持っています。これに対し側頭葉では言語理解・記憶・嗅覚や聴覚をつかさどっている部位です。前頭側頭型認知症では、こうした機能を司る部位に障害が生じる結果として、それに応じた高次機能障害が生じます。
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