概要
大腿骨頭すべり症とは、大腿骨骨頭の骨端と呼ばれる部位が正常な位置からずれてしまう病気を指します。大腿骨頭すべり症は、骨の成長過程にある男児、特に肥満傾向にあるお子さんにみられることが多いといわれています。日本では従来少ないと考えられていましたが、食生活の欧米化に伴い発症数が増えてきているとされます。
大腿骨頭すべり症では、股関節の痛みや運動制限などが生じます。急性型では、急激な経過から歩行ができなくなることがある一方、慢性型では、慢性的に経過するためになかなか診断につながらないこともあります。また、ときに股関節ではなく膝の症状が前面に出ることもあり、この場合も診断が遅れます。
大腿骨頭すべり症では、著しい機能障害を残すことが懸念されます。股関節の機能障害を防ぐためにも、経過に応じて、軽症例ではその位置でのピン固定術、重症例では各種の骨切り術を適切に組み合わせ、すべりの角度を矯正することが重要であるといえます。
原因
股関節は、骨盤の一部を構成する寛骨と大腿骨により形成される球関節です。大腿骨側は、大腿骨頭と呼ばれる球状を呈しています。この大腿骨頭の直下には骨の成長に重要な部位である成長板と呼ばれる部分がありますが、この部分を境として、上方の骨端部分である骨頭が後方にずれてしまう病気が、大腿骨頭すべり症です。
大腿骨頭すべり症は、疫学的には思春期の男児に多く発症する病気です。肥満傾向にあることも、病気の発症に関連性があるとされています。その他、何かしらのホルモン異常(たとえば性ホルモンや副腎皮質ホルモン、甲状腺や副甲状腺ホルモンなど)が大腿骨頭すべり症の発症に関連しているのではないかという仮説もあります。このように、さまざまな要因が病気の発症と関係していることが推定されていますが、大腿骨頭すべり症の正確な原因は確定されていません。
症状
股関節の痛みと可動域制限がみられます。症状が強い場合には、自分の体重をかけることもできないほどの状況になり、歩行ができなくなります。また、外側に足が向くようになり、両側の足の長さに差が出てしまうこともあります。
ときに膝や踵など、股関節とはまったく異なる部分に痛みなどを生じることもあります。この場合には、大腿骨頭すべり症の診断が遅れてしまう危険性があります。両側に病変を生じることもあります。
病状が進行すると、機能障害が残るため、適切な治療が必要となります。合併症の代表的なものとしては、大腿骨頭壊死症や軟骨融解などがあります。
検査・診断
大腿骨頭すべり症の診断は、治療方針の決定のためにもすべりの状態を詳細に評価することがとても重要です。検査では、股関節のレントゲン写真や超音波検査、CT(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)、MRI(磁気を使い、体の断面を写す検査)といった画像検査をおこないます。
治療
大腿骨頭すべり症の治療は、骨頭のずれを矯正すること、骨頭の安定性を確保することを目標にして行われます。急性に発生した大腿骨頭すべり症の場合は、無理のない範囲での整復術が試みられます。また慢性に経過している大腿骨頭すべり症の場合には無理に整復することなく、ピン固定術や各種骨切り術が行われます。
術後は、しばらくの間リハビリテーションが必要となります。装具装着による股関節への荷重制限、筋力増強訓練や可動域訓練などを行います。どのタイミングで股関節への荷重を開始するか、スポーツ復帰を許可するか、などは経過によって異なります。
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