症状
愛情遮断症候群では、身体面からそれと指摘できる症状を見るようになります。栄養を十分に与えられず、成長に必要な各種ホルモンの分泌(代表的には成長ホルモン)が不足する結果、年齢に応じた身長・体重増加を達成することができなくなります。したがって、低身長や体重増加不良を見ることが多いです。脂肪のつき方や筋肉の発達も異常を呈するようになり、赤ちゃんであれば赤ちゃんらしい手足のムチムチとした感じがなくなり、幼児期以降であっても体幹から手足にかけての線が細くなります。
愛情遮断症候群では、子どもの情緒面にも影響が生じることがあります。
すなわち、
- 喜怒哀楽に対しての表情が乏しい
- かんしゃくを起こしやすい
- 養育者に抱っこをせがむことがない・寄っていかない
などの症状を見るようになります。愛情遮断症候群は常時不安を感じるような状況であり、夜間の睡眠の質が低下することもあります。お腹が空いている、歯が生えている、オムツが汚れているなどの原因がないにもかかわらず、頻回の夜泣きを見ることもまれではありません。
また、愛情が足りていない環境に子どもが置かれていることを疑うポイントもあります。
具体的には、
- おむつかぶれがひどい
- 皮膚が汚い
- 汚い服を着ている
などです。
愛情遮断症候群は育児放棄(ネグレクト)を原因として発症する場合もあるため、こうした状態は子どもの置かれている環境を推測するのに重要です。
愛情遮断症候群では運動発達が遅れることもあり、おすわりや自立歩行が遅れることもあります。愛情遮断症候群に陥った家庭や養育環境から子どもを隔離し、ストレスのない愛情深い環境におくことで、特別な栄養がなくても、体重や身長および発達が伸びることが観察されます。その後、その子どもを再度、改善されていない家庭・養育環境に戻すことで、再度身長や体重の停滞がみられることがあり、これを階段状の発育と呼んでいます。
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