概要
汗管腫とは、汗を出す管である汗管が、腫瘍性に増殖することで発生する病気です。
皮膚には、汗を分泌するための器官であるエクリン汗腺が存在します。エクリン汗腺のもとは皮膚の中でも比較的深い位置、真皮と呼ばれる部分に位置しています。この部位に存在するエクリン汗腺を真皮内汗管と呼びますが、この汗管が腫瘍性に増殖します。
主に、上下まぶたとその周囲に点々とした丘疹(皮膚の盛り上がり)として認められます。汗管腫自体は腫瘍ですが良性腫瘍であり、がん(悪性腫瘍)のように転移を起こして健康被害をもたらすことはありません。
しかし、汗管腫は思春期前後の女性に多い病気であり、顔に症状が現れるため、美容的な観点から問題になることがあります。自然治癒もあまり期待できないため、重い健康被害をもたらすわけではありませんが、審美的な観点から治療対象とするべきか考慮することが重要といえます。
原因
汗管腫が生じる原因は完全に解明されているわけではありません。しかし、遺伝的な要素が関与する可能性が指摘されています。
基本的には見た目以外の問題はない汗管腫ですが、なかには遺伝性疾患の全身症状のひとつとして生じることもあります。たとえば、まれな病気ですがBrooke-Spiegler症候群と呼ばれる汗腺や毛包など、皮膚に存在する付属物が腫瘍化する病気があげられます。汗管腫では、こうした全身疾患が隠れていない注意することも大切です。
症状
目元周辺に1~3mmほどの大きさの丘疹が多数できます。黄色がかった色調になることもあれば、もとの皮膚の色そのままに皮膚が盛り上がりを示すこともあります。皮膚症状は目元に出ることが多いですが、腋窩や臍部、胸、女性外陰部にも見られることもあります。
多くの場合、見た目の変化以外に特別な症状が現れることはありません。そのため、かゆみや痛みなどの自覚症状は基本的にありません。
しかし、汗管腫は顔(とくに目の周辺)が好発部位であり、思春期の女性に見られることが多いこととも関連して、美容的な意味合いで問題になることがあります。
検査・診断
基本的には見た目の変化を詳細に観察することで診断されます。
より正確に病気を診断するために、皮膚の一部を採取してそれを顕微鏡で観察する病理検査を行うことも検討されます。
治療
汗管腫は、そもそも治療をするべきかどうかを考慮する必要があります。
基本的には健康被害をもたらすような病気ではないため、美容的な観点から治療介入をするべきかどうかを決定します。
治療をおこなう場合は、以下のような方法が検討されます。
- メスによる切除(特に顔以外に存在する汗管腫に対して検討)
- 液体窒素を用いた冷凍凝固
- 炭酸ガスレーザー
- 電気焼灼
など
治療しても再発もみられるため、治療を行うかどうかについては、治療効果、治療による副作用、費用面などの問題について、しっかり検討のしたうえで決めることが大切です。
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