愛知県豊田市の医療法人愛知会家田病院は、胃腸科・肛門科の病気に対応している肛門専門病院です。1979年の設立以来、東海地区の患者さんのお尻の悩みに真摯に向き合い、さまざまな肛門の病気の治療や手術を行っています。同院の院長を務める家田純郎先生は、肛門の病気について悩んでいる患者さんを明るく迎え、リラックスして診療を受けられるような環境づくりに取り組んでいます。
今回は、医師になったきっかけや、日々の診療で心がけていることについて、同院の家田純郎先生にお話を伺いました。
家田病院は、私の父である家田浩男理事長が、1979年に設立しました。肛門領域を専門とする父の姿を見ながら育った私にとっては、肛門の病気の相談で訪れた患者さんや、自宅に並んでいる資料写真などは珍しくなく、医師になる前から肛門領域を身近に感じていました。知らず知らずのうちに、肛門の診療に携わりたいという思いがあったのかもしれません。そのため、医師になってから肛門科を選択したのではなく、肛門科医になるために医師を目指しました。
小学生の頃は、クラスメイトから「お尻、お尻」とからかわれることもありました。今にして思うと、それは、父が、肛門科という特殊な領域に真摯に取り組んでいたことが、地域の子どもたちにも広く知られていたということだと思います。
私が肛門科の医師として当院で診療を行うようになってから、お尻の病気で困っている人が実はたくさんいるということを実感しました。東海地区における肛門科専門病院は数が少ないため、当院が地域を支えていかなくてはいけないという思いを持つようになりました。現在は、豊田市や岡崎市をはじめ、近隣の県から訪れる患者さんもいらっしゃいます。高齢化が進む社会において、肛門診療における当院が果たす役割が、年々大きくなっていくことを肌で感じております。
私は、父の理念を継承し、2018年より院長に就任しました。腸とお尻の専門的な診療を続けていくことで、「東海地区の肛門専門病院」という使命を果たしていきたいと思っています。
家田病院の外来診療では、男女別の待合室を設置し、診察室の入り口も男女別にすることで、痔の診療に対して恥ずかしさや不安を抱えている患者さんに、少しでも安心していただけるよう配慮しています。
ほかの患者さんからの目隠しになるように、院内にはさまざまな工夫を施しています。たとえば、向かい合う診察室のドアの位置を少しずらして設置することで、たとえ診察室のドアが両方同時に開いても、患者さん同士の顔が見えないようにしています。
診察時には、相談しやすい雰囲気をつくるために、専門的な言葉をできるだけ使わないことを心がけています。学術的な用語を使って話をするのではなく、たとえば「切れ痔は転んで擦りむいたようなものだから」といった患者さんにとってなじみやすい言葉でお話しするようにしています。
また、患者さんの恥ずかしさを和らげるように話すことも大切にしています。緊張してお尻がカチカチになっている患者さんは、肛門に指を入れたときにうまく診察できないことがあります。緊張をほぐしてもらうために、看護師さんの話し方を参考にして、やわらかい言葉遣いで患者さんと接するようにしています。
また、当院では「メールお悩み相談」を行っており、メールでいただいたお悩みに、私が直接お返事をしています。お尻のことで不安があっても恥ずかしくて受診しづらいという患者さんを中心に、幅広い相談が全国から寄せられています。「お尻から血が出たのですが、病気でしょうか?」といった質問に、メールだけで詳しくお答えすることは難しいですが、詳しく症状を説明していただければ、どのような病気なのかを検討して、具体的なアドバイスをするように心がけています。お尻の不安や心配ごとがある方は、お気軽にご相談ください。
当院で治療を受けた患者さんから、「こんなによくなった」、「早く来ればよかった」と驚かれることがあります。「最初は恥ずかしかったけれど、来てよかった」と言っていただけるのは嬉しいことです。
肛門の病気は、早期に治療を開始したり、手術をしたりすると、治るものがたくさんあります。しかし、患者さんのなかには、肛門科を受診することが恥ずかしくて何年も悩んでいる方が、日本にはたくさんいらっしゃると思います。病院に相談できないまま悩んでいる患者さんには、肛門の病気を我慢しないでほしいこと、治療法があるということを、ぜひ知ってほしいと思います。
当院は入院施設を備えており、どのような肛門の病気でも、治療や手術ができる体制が整っています。また、肛門の専門的な病院として、進行した痔瘻などに対する難易度の高い手術にも取り組んでおり、東海地区の医療機関からの紹介で受診される患者さんもいらっしゃいます。地域の患者さんからの期待に応えられるよう、日々研鑚を重ね、責任を持って医療を提供していきたいと思います。
お尻の気になる症状があるときは、早めに受診していただきたいです。できるだけ早く受診することで、病気を早期に発見し、治療につなげることができます。また、病気だからといって必ず手術するわけではありませんし、手術が必要になる場合は、詳しくご説明して、患者さんにしっかりと納得いただいたうえで手術を行います。お尻の症状を我慢せずに、まずは受診するようにしてください。
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