DOCTOR’S
STORIES
患者さんに寄り添い、医療連携体制の構築にも尽力する太田章比古先生のストーリー
愛知県豊田市の医療法人愛知会家田病院は、胃腸科・肛門科の病気に対応している肛門専門病院です。同院の副院長およびIBD部長を務める太田章比古先生は、IBD(炎症性腸疾患)の患者さんのサポートを続け、地域の医療機関と連携する体制づくりにも尽力しています。
今回は、太田先生がIBD(炎症性腸疾患)の診療に携わったきっかけや、IBD(炎症性腸疾患)の診療にかける思いについて、お伺いしました。
私は、かつて、外科の医師として総合病院と大学病院に10年ほど勤めており、そのときは主に消化器疾患の手術を担当していました。それと同時に、当院の非常勤の医師としても勤務していました。診察室でIBD(炎症性腸疾患)の患者さんの相談に応じることや、治療を終えた患者さんが元気に帰っていく姿にやりがいを感じたことがきっかけで、常勤の医師として当院に赴任することを決めました。
私が赴任した当時、現在の理事長である家田浩男先生が、IBD(炎症性腸疾患)の早期発見と治療に注力していました。IBD(炎症性腸疾患)の診断がついた患者さんが増える一方、患者さんの全身状態を把握できる医師が不足していたことから、私もIBD(炎症性腸疾患)の診療を担当することが次第に増えていきました。今では、当院のIBD(炎症性腸疾患)の診療は、ほとんど私が担当しています。
当院のIBD(炎症性腸疾患)の患者さんは、私一人では対応できないときや、手術が必要なほど重症化したときなどに、地域の医療機関と協力して治療できるよう、医療連携の体制を整えています。
医療連携を進めるきっかけとなったのは、当院では手術が難しい重症のクローン病の患者さんを、手術設備の整った病院に搬送したときに、搬送先の病院に専門医が在籍していなかったために手術の開始が遅れてしまったという経験からです。医師として、今後はそのようなことがあってはならないと強く心に決め、重症の患者さんを迅速に助けられる体制づくりに取り組んできました。
現在は、当院で手術することが難しいと判断した患者さんについては、当院から車で20分ほどのところにある愛知県安城市の八千代病院に搬送し、迅速に手術する体制を整えています(2019年5月時点)。八千代病院の外科の医師とは、IBD(炎症性腸疾患)の診断治療を一緒に勉強しており、手術が必要なときにはすぐに患者さんを引き受けていただいています。
また、夜間や休日でも、緊急の場合はすぐに患者さんを搬送することが可能です。私が不在のときに重症の患者さんが受診を希望されたら、看護師が私に電話で連絡し、私は看護師からの報告をもとに、八千代病院に搬送すべきかどうかを判断します。搬送することが決まったら、看護師が患者さんをご案内し、私は八千代病院に連絡して即時に情報共有します。
このように、他院との連携体制をしっかり構築したことで、たとえ重症化したIBD(炎症性腸疾患)の患者さんであっても対応できるようになりました。
当院のIBD(炎症性腸疾患)の患者さんのなかには、私が当院に赴任したばかりの頃から通院を続けている方もいらっしゃいます。患者さんと、10年や20年という長いお付き合いをして色々な話ができることは、外来診療の楽しみのひとつです。
私が診察するときは、患者さんに寄り添うことを心がけています。患者さんのなかには、体の調子がよいときは自己判断で通院をやめてしまう方もいらっしゃるようですが、通院を楽しみにしていただけるよう、しっかりと対話をすることを大切にしています。
とくにクローン病の患者さんは、治療をしないと悪化することが多く、大腸がんを発症するリスクも高まるため、クローン病の早期発見と治療の継続が重要です。外来診療を通して、大腸がんのリスクについて正しく伝え、クローン病の早期発見と治療の継続に寄与していきたいと考えています。
潰瘍性大腸炎やクローン病をはじめとしたIBD(炎症性腸疾患)は、悪性の病気ではありません。病気と上手に付き合っていくことにより、健康な方と同じように毎日を過ごすことができます。しかし、病気そのものを根本的に治療することは難しいため、患者さん自身が病気との付き合い方をしっかりと覚えていくことが大切です。病気の特徴を知り、自分にあった治療法を、医師と一緒に探していきましょう。気になる症状や分からないことがあるときは、遠慮なくご相談ください。
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