病気の特徴と患者さんの症状
症状の持続期間と発作の間隔
FMF患者さんの特徴として、「熱・痛み・腫れ・赤み」といった炎症に伴う症状が何日か続き、こういった発作を定期的に繰り返すことが挙げられます。典型的な患者さんでは、「半日から3日続く高熱と激痛などを伴う発作が起こる」という典型的パターンが認められます。ただ、日本では典型的パターンを示さない患者さんも多く、非典型的な患者さんでは、症状の持続期間や発作の間隔が短かったり長かったりといった非典型的パターンがみられます※3。
なお、患者さんによっては発作のきっかけになるものをもっていることがあり、きっかけになるものとして、過労やストレス、月経などが知られています。
どんな症状がみられる?※3
主に発熱、お腹の痛み、胸の痛みなどが認められますが、関節の痛みや腫れ、発疹、筋肉痛など、患者さんによってみられる症状はさまざまです。特にお薬を飲まなくても症状は自然によくなり、発作と発作の間はなんの症状もありません。 非典型的な患者さんの中には、症状の程度が比較的軽い患者さんもいます。FMFでみられる症状を以下に示します。
発熱
発熱は、ほぼすべての患者さんで認められます。38℃以上のことが多いですが、それ未満の場合もあります※1。
頭の症状
ハンマーで殴られるような、激しい頭痛がみられることもあります。
お腹の症状
お腹の痛みは、7割程度の患者さんで認められます※3。その多くは鋭くて強い痛みで、原因不明のまま開腹手術が行われることもあります。強いお腹の張りがみられる場合もあります。
胸の症状
胸から背中にかけての痛みは、4割程度の患者さんで認められます※3。「出刃包丁や千枚通しで刺されるような痛み」と称されることが多く、咳、呼吸のしづらさや浅さなどを伴う場合もあります。
また、姿勢や動作によって変化する胸の痛みがみられることもあります。この胸痛は、胸から左肩(左腕)にかけて広がる場合もあります。
関節の症状
関節の痛みや腫れ、熱っぽさは、3割程度の患者さんで認められます※3。こういった関節の症状は、股関節、膝関節、足関節(足首)などの大きな関節で多くみられますが、1回の発作では1つの関節のみに症状が認められるのが典型的です。
生殖器の症状
陰嚢の痛みや腫れなどが、認められることがあります。
皮膚の症状
熱を帯びた赤い発疹が、足(特に足首の周りや足の甲)にみられることがあります。
その他の症状
体動時の足の筋肉痛、下痢、吐き気・嘔吐などが認められることがあります。
どのような経過をたどる?
将来、アミロイドーシスの中でもAAアミロイドーシスを合併する可能性があります。AAアミロイドーシスとは、血清アミロイドAタンパク由来のアミロイドAというナイロンに似た線維状タンパク質が、心臓、腎臓、肝臓、消化管※といった全身のさまざまな臓器に沈着することによって、臓器の働きが低下する病気です。FMFでは、強い炎症を伴う短期的な発作が長きにわたって繰り返されることによってアミロイドAの産生が増加し、AAアミロイドーシスに至ると考えられています。
※消化管:食べ物を消化・吸収するための管状や袋状の臓器で、胃、十二指腸、小腸、大腸などが含まれる。