早期診断の重要性
他の病気と診断されることの多いFMF
熱が出た場合、まず疑われるのは感染症です。また、FMFでは発熱以外の症状として腹痛、胸痛、関節炎などが認められますが、これらは他の病気でもよくみられる症状であるため、他の病気と診断され、FMFと診断されるまでに長い年月を要することがあります。2009年に実施された全国調査によると、日本人のFMF患者さんでは、発症してから診断されるまでに平均8.8年かかっていました※3。はっきりとした診断を求めて多くの医療機関を訪れる患者さんもいて、受診する科も一般内科、小児科をはじめ、膠原病内科、消化器内科、呼吸器内科、外科、産婦人科、総合診療科など多岐にわたります。
FMFと症状が似ていて間違えられやすい病気に、ベーチェット病、PFAPA(周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群)、感染症、悪性腫瘍があり、まれな病気ですが、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)など他の自己炎症性疾患があります。
早期診断の重要性
FMFは自然免疫の暴走により強い炎症を伴う短期的な発作を定期的に繰り返す病気で、いったん発作が起こると、高熱や激痛により日常生活が著しく制限されますが、特にお薬を飲まなくても自然によくなり、発作と発作の間はなんの不都合もありません。 こういった特徴や診断がつきにくいことから、発作が起こっている間はひたすら我慢し、医療機関を受診しない患者さんもいます。 ただ、強い炎症を伴う短期的な発作を長期にわたって繰り返すと臓器に悪影響が及ぶ可能性があるため、できるだけ早く診断を受け、 治療を開始することが大切です。たとえ数日間であっても、高熱や激痛を我慢する必要は全くありません。
FMFの診断に向けて※3
FMFは症状によって診断される病気です。詳細な問診で確認された症状が以下の条件にあてはまる場合に、典型的なFMFと診断されます。なお、全身の炎症の程度を確認したり、他の病気を除外したりするために、血液検査をはじめとするさまざまな検査も行います。 FMFが疑われるけれど下記の診断基準にあてはまらない場合は、右図のように遺伝子検査を行い、診断の補助とします。典型的なFMF患者さんに関しては、 MEFV遺伝子検査は必須ではありませんが、念のため実施することがあります。
症状に応じた治療
FMFの治療には主に、発作予防で用いられるお薬と、発作時の発熱、痛みをやわらげるお薬があります。症状を和らげたりなくしたりする治療のため、特別な心構えは必要ではありません。治療に関しては主治医と相談して決めてください。