肺は、肺胞というブドウの房の形をした小さな袋が数多く集まって形成されています。肺胞の壁にあたる“間質”は、酸素や二酸化炭素の通り道になっています。
“間質性肺疾患”とは、この間質に炎症や損傷が起こり(厚くなる)、線維化(厚くなった間質が硬くなって治らずに傷あととして残る)によって酸素を取り込みにくくなる病気です。
健康な肺では、たとえ肺に炎症や損傷が起こっても修復されます。ところが、長年にわたり損傷が継続し、肺に傷がついては修復をするということを繰り返す、あるいは徐々に傷が進行することで、肺胞の構造が破壊されてコラーゲン線維などが間質に蓄積し、結果として肺の線維化が起こると考えられています。
間質が線維化すると、肺が十分に膨らまなくなり、酸素を取り込みにくくなります。その結果、酸素が不足して息苦しさなどの症状が現れます。そして、肺の線維化は進行すると基本的に元には戻りません。このように間質性肺疾患では不可逆的な“肺の線維化”が起こりうる、あるいはその一部では進行するため、治療などでいかに進行を抑制するかがポイントとなります。
肺にある肺胞(ブドウの房のような形をした小さな袋)の壁に炎症や損傷が起こり、肺が線維化し、酸素を取り込みにくくなる病気を“間質性肺疾患”といいます。そのうち、原因不明のものを“特発性間質性肺炎”と呼び、国の指定難病になっています。特発性間質性肺炎は、特発性肺線維症、非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、急性間質性肺炎、呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患、剥離性間質性肺炎、分類不能型特発性間質性肺炎などに分類され、治療法も経過も異なります。
自己免疫疾患は、免疫の機能が自分の体の成分を攻撃してしまうことで起こる病気の総称です。関節リウマチや全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、血管炎などがその一例です。
関節リウマチは関節内に慢性の炎症が起こる病気です。関節のこわばりや痛み、微熱や全身倦怠感といった症状がみられます。その中で、悪性関節リウマチは国の指定難病です。
強皮症は“全身性強皮症”と“限局性強皮症”の大きく2つに分けられており、全身性強皮症は国の指定難病です。どちらも皮膚が徐々に厚く、硬くなっていく点は共通していますが、全身性強皮症の場合、病気が進行すると内臓が硬くなり、機能を障害していきます。
多発性筋炎・皮膚筋炎は筋肉に炎症が生じ、力が入りにくくなったり、疲れやすくなったりする国の指定難病です。また、皮膚筋炎の場合にはまぶたや手指の関節などが赤く腫れるような皮膚症状も現れます。
シェーグレン症候群は目や口内が乾燥したり、唾液腺の腫れや痛み、息切れが生じたりする病気で、特発性間質性肺炎や強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎と同様、国の指定難病になっています。
過敏性肺炎とは、有機物の粉塵や化学物質を繰り返し吸い込むことによってアレルギー反応が起こり、肺の組織が炎症を起こす病気です。慢性に経過すると肺の線維化をきたします。
サルコイドーシスとは、肉芽腫という細胞の塊の病変がリンパ節、肺、目、皮膚、心臓、筋肉、神経など全身のさまざまな臓器に現れる国の指定難病です。
薬剤性肺障害とは、薬剤を投与しているときに起きた呼吸器系の障害のうち、漢方薬やサプリメントを含む、薬剤が原因となるものを指します。