インタビュー

NASHの治療方法

NASHの治療方法
岡上 武 先生

大阪府済生会吹田病院 名誉院長

岡上 武 先生

この記事の最終更新は2016年02月08日です。

NASHの治療としては何より運動・食事療法が第一で、体重減少は特に顕著な改善につながります。それでも良くならない場合には薬物療法を行いますが、特効薬は存在しませんが、現在その薬剤の開発を進めています。閉経後の女性は特に発症頻度が高くなり、これに対しては除鉄療法を行います。ここではNASHの治療方法について大阪府済生会吹田病院総長の岡上武先生にお伺いしました。

単純な脂肪肝も含めた治療方法としては、肥満(内臓脂肪蓄積)、糖尿病、高脂血症、高血圧を治すのと同様、運動や食事の改善が第一です。速く歩く、間食はしない、夜遅くものを食べないといったことを守れればかなり改善します。

NASHにおいては体重を減らすことが非常に有効です。5~7kg減少させるともののみごとに肝機能が改善されます。無理に減らしてもリバウンドが来るので、私はNASH患者に「ひと月1~1.5kgの体重減少でいいから、それを半年でいいから続けてください」と伝えています。

それでもよくならない場合は薬物治療が必要になりますが、特効薬があるわけではありません。病態に応じて、抗酸化剤(ビタミンE、C)、糖尿病治療薬(チアソリジン系薬剤)、ビグアナイド系薬剤(シダグリプチン)、高脂血症治療薬(フィブレート系薬剤、エゼチミブ、ポリエンホスファチジルコリンなど)、肝庇護剤(ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン酸など)などを使うことがあります。なお2016年からNASH治療薬の治験が本格的に始まります。

また、女性の場合、閉経を過ぎるとホルモンなどの関係からNASHの発症頻度がぐっと高くなります。特に肥満・糖尿病・高脂血症・高血圧の人は要注意です。閉経すると肝臓に鉄がたまりやすくなり、過剰な鉄は肝臓に負担をかけるので、この場合鉄を減らす除鉄療法を行います。方法としては、1回に200~400mlの血液を2週間ごとに抜く瀉血療法があります。ただ、保険が適用されない治療法なのでどこの病院も実施しようとしませんが、当院では実施しています。また、1日の食事中の鉄分を制限する鉄制限食があります。ホウレンソウやノリ、マグロなどは控えるように勧めています。

それでも快方に向かわない患者さんに対しては胃の縮小手術を行うことがあります。これは体重が150kg以上ある人が対象です。なおこの手術は保険適用されます。

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