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STD(性感染症)の特徴とは?~主な症状や原因、予防、治療法について解説~

STD(性感染症)の特徴とは?~主な症状や原因、予防、治療法について解説~
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

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STD(Sexually transmitted diseases)とは性的な接触によってうつる病気のことをいい、“性感染症”と呼ばれることもあります。また、近年はSTDの原因となる病原体に感染していながら症状が現れない無症状の状態を含めた総称としてSTI(Sexually transmitted infection)という言葉が使用されることもあります。STDにはさまざまな病気があり、感染した部位に炎症などの症状が現れることがあるほか、進行すると重篤な合併症が生じることもあります。

この記事では、STDの種類や原因、予防、治療方法などについてお伝えします。

STDとは、性行為によってうつる病気のことをいいます。感染すると感染した部位を中心にさまざまな症状が現れることもありますが、場合によっては症状に気が付かない、あるいは症状が現れないこともあるため、感染者が感染に気付かないうちにセックスパートナーにうつしてしまうこともあります。またSTDにかかっていると、ほかの細菌・ウイルスが侵入しやすくなり、HIVなどほかのSTDへの感染リスクが高まるといわれています。

また、STDには原因となる病原体ごとにさまざまな種類がありますが、なかでも日本で発生動向調査が行われ性感染症に関する特定感染症予防指針の対象疾患となっている病気は以下の5つです。

このほかにもHIV感染症エイズA型肝炎B型肝炎C型肝炎アメーバ赤痢などが知られています。

STDの症状は病気によってもさまざまですが、初期症状では感染した部位に炎症が生じ、痛み・かゆみを感じたり、普段みられない分泌液が生じたりすることがあります。進行すると梅毒であれば心臓や脳の感染症、HPV感染症であれば子宮頸がん直腸がん肛門がんなどを引き起こすこともあります。

また、STDでは性別によって訴える症状が異なる場合もあります。

男性がSTDにかかると、陰茎から侵入した病原体が尿道に感染することがあります。尿道に感染した場合、尿道口から分泌物が排泄する、排尿に痛みが伴うなどの症状が現れることがあります。

女性がSTDにかかると、腟から侵入した病原体が子宮頸部・卵管・卵巣などに感染することがあります。感染によって子宮や卵管が損傷した場合、下腹部の痛みが生じることがあるほか、不妊症の原因となる可能性もあります。また、感染が腹膜に広がると腹膜炎を引き起こすこともあります。

STDの感染経路は主に性的接触です。感染者の血液・腟分泌液・精液などの体液が相手の性器・腸管・口の粘膜に触れることで感染します。腟性交だけでなく、口腔性交や肛門性交で感染することもあります。性行為以外の日常生活で感染することはほとんどありませんが、ごくまれに母子感染、輸血感染、注射針などによる感染も見受けられます。

STDは性行為中にコンドームを正しく使用することで予防が期待できます。ただし、性行為をする限りSTDにかかるリスクを完全になくすことは困難です。そのため感染のリスクを減らすためには、不特定多数の相手と性行為をしないことやほかにセックスパートナーがいる相手と性行為をしないことなどが望ましいと考えられています。また、自分のセックスパートナーにSTDをうつしてしまわないよう、感染者と性行為をした場合や気になる症状がある場合は病院を受診し診断・治療を受けることも大切です。

なお、STDの一種であるHPV感染症尖圭コンジローマ)、A型肝炎B型肝炎ではワクチンによる予防も可能です。

主なSTDは薬物療法によって治療されます。梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症などの細菌性の感染症に対しては抗菌薬を、性器ヘルペス尖圭コンジローマなどウイルス性の感染症に対しては抗ウイルス薬を用いて治療することが一般的です。また、尖圭コンジローマでは患部の切除やレーザーによる蒸散、電気メスによる焼灼など外科的治療が行われることがあります。

梅毒・淋菌感染症・性器クラミジア感染症など細菌性の感染症では、病気が根治するまで性行為を控える必要があります。またこれらの感染症にかかっている場合、患者のセックスパートナーも感染している可能性があるため、病院を受診し検査を受けることを検討しましょう。また、性器ヘルペスなどウイルス性の感染症は薬によって症状のコントロールをすることは可能ですが、根治は難しく生涯病気と付き合っていくことになります。

STDにかかると感染した部位に症状が現れることがあるほか、進行すると命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。また治療をしないで性行為を行えばセックスパートナーに感染し、感染が拡大する恐れもあります。そのため、感染者と性行為をした可能性がある場合や気になる症状が現れた場合は医療機関の受診を検討しましょう。

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