院長インタビュー

思いやりと活力あふれる病院を目指す大阪府済生会中津病院

思いやりと活力あふれる病院を目指す大阪府済生会中津病院
志手 淳也 先生

大阪府済生会中津病院 病院長

志手 淳也 先生

目次
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大阪府済生会中津病院は、大阪市北区にある大阪駅(梅田駅)のすぐそばに位置する急性期医療に特化した総合病院です。地域の中核的な病院として、24時間体制で取り組んでいる救急医療をはじめ、幅広い疾患に対応した診療を行っています。交通の利便性がよく、多くの患者さんが訪れる同院の特徴を院長の志手 淳也(して じゅんや)先生に伺いました。

大阪府済生会中津病院は1916年に設立され、2016年に100周年を迎えた歴史ある病院です。済生会病院全体の中では3番目、大阪府内にある済生会病院の中では最初に設立されました。当初はわずか75床の病院でしたが、現在は31の診療科、570床(2024年2月時点)にまで成長しました。

当院の医療圏である大阪市北部や豊中市南部などは、人口の増加と共にマンションも増えているエリアです。当院は大阪駅のすぐ横という利便性のよさから、私鉄やJRを利用して広いエリアから患者さんが訪れます。

高度な医療設備や体制により、当院は幅広い病気や患者さんの状況に対応できるよう環境を整えています。近年は、病床数を限定することで急性期に特化した病院へとシフトチェンジしつつありますが、地域医療を支えるべく、中津医療福祉センター全体として急性期医療から回復期リハビリテーションまで、幅広い医療を行っています。また、近年注目されている訪問看護・介護といった在宅支援にも積極的に取り組んでいます。

当院の特徴として、がん診療に注力していることが挙げられます。エビデンスに基づく診療ガイドラインに準じた診療を行い、さらに新たな高度な治療も提供しています。幅広い診療実績を持ち、PETやMRI、リニアックといった医療機器も新型のものを導入しています。

主要な治療法である化学療法では、新しい薬剤が次々登場し、治療内容もこれまで以上に複雑になっています。そのため、患者さんが不安なく治療に専念できるよう対策に取り組んでいます。

また、がんに対する診療サポートは多岐にわたるため、診療科単体だけでは十分なカバーが難しく、診療科を横断した医療が必要なことが多々あります。そのため、当院ではスムーズな医療連携を行い、患者さんやご家族の苦痛や悩みに寄り添うため、“がん診療支援センター”にて、専門性の高い看護師らスタッフによる支援体制を整えました。

また、緩和医療の充実も図っており、入院されている患者さんを中心に多くの患者さんをサポートしています。緩和ケアとは、病気の治療中に起こる心身の苦痛を和らげ、患者さんやご家族にとって可能な限り生活の質を向上させることが目的です。お困りのことがあればぜひご相談ください。

脳・血管用のバイプレーン血管撮影室
脳・血管用のバイプレーン血管撮影室

急性期医療に力を入れている当院では、2024年2月に脳・心・血管治療センターを設立しました。センターではハイブリッド手術室、心臓専用バイプレーン血管撮影室、脳・血管用のバイプレーン血管撮影室の3室を1か所に集約しました。体内の複雑な血管を治療する過程で造影剤は必要不可欠ですが、新しい設備は高機能で造影剤の量が従来よりも少なく済むため患者さんの負担が軽減し、さらには繊細な治療も可能となる画期的なものです。

脳神経外科においては、脳血管障害や頭部外傷などの急性期疾患から脳腫瘍(のうしゅよう)脊椎脊髄疾患(せきついせきずいしっかん)、機能的疾患まで幅広い治療を行っています。また、脳血管障害においては、脳神経内科、救急科、リハビリテーション科と連携した包括的な診療を行っており、機械的血栓回収療法などの超急性期治療から慢性期リハビリテーション治療など、当院の総合力ある医療を提供しています。

当院の循環器内科では、虚血性心疾患不整脈末梢動脈疾患(まっしょうどうみゃくしっかん)に対する治療に力を入れています。特に注力しているカテーテル治療においては、しっかりとCTなどの低侵襲(ていしんしゅう)な検査を使って治療が適しているかどうかを判断し、患者さんの負担を最小限に抑えられるよう努めています。

また、高齢化に伴い増加している慢性心不全は入退院を繰り返すことが多い病気のため、患者さんやご家族の負担の大きさも問題の1つとなります。当院では、少しでも不安や負担を軽減するため、治療だけでなく在宅での療養を法人内で連携しています。

急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)など緊急性の高い心血管疾患においても、24時間365日で対応する体制を整え、地域の方に安心していただける医療を提供できるよう尽力しています。

当院の心臓血管外科は、成人心臓血管外科手術全般に対応しています。多職種チームで安全な治療を心がけ患者さんが安心して手術に臨めるよう力を尽くしています。特に、心臓弁膜症に対する手術や冠動脈に対するバイパス手術、大動脈解離を含む胸部や腹部の大動脈手術を主として行っています。全身をめぐる血液のポンプ役である心臓の病気に対し、外科的アプローチで取り組んでいます。

当院では、新薬や医療機器、診療手段の新しい使い方を検討するため多くの臨床研究を行っています。臨床研究は、ご協力いただく患者さんの安全の確保が大前提であり、そのため倫理委員会の審査を経て承認を得た後に実施することができます。日々の診療から得られた経験は、将来の医療の礎となるよう各診療科で積極的に行っています。

循環器内科では、OCT(光干渉断層映像装置)を用いたカテーテル診断・治療においては国内でも熟練した施設として、定期的なワークショップやライブデモンストレーションなどで情報発信をしています。

日々の診療で患者さんの治療に役立てるよう、学びの面でも研鑽を重ねています。

“よい病院”の条件の1つとして、組織の活力は大事な要素ではないでしょうか。よりよい医療を提供するためには、患者さんとともに職員にとっても居心地のよい病院であることが大切だと考えています。

そのための第一歩として、毎月第一火曜日の朝に病院玄関で“スマイルホスピタル運動”というあいさつ運動をしています。声を発して人にあいさつをすることで、思いやりと活力にあふれる病院になるよう、身近なところから取り組んでいます。

院内病児保育室
院内病児保育室

また、職員の働きやすさを向上させるため、院内保育所や病児保育室の設置などにも取り組んでいます。当院は、地域の方々や先生方に信頼され必要とされる医療機関として、これからも地域医療に貢献してまいります。