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インタビュー

公開日 : 2017 年 01 月 13 日
更新日 : 2017 年 12 月 01 日

肝臓移植には、生体肝移植と脳死肝移植があります。日本では、患者さんのご家族などがドナーとなることが多い生体肝移植が主に行われており、脳死肝移植の件数は決して多いとはいえません。健康なドナーの方が肝臓の一部を提供する生体肝移植には、どのような長所とリスクがあるのでしょうか。世界でも有数の肝臓移植施設である京都大学にて医学部長を務める上本伸二先生に、具体的な数値や脳死肝移植との比較を交えながらお話しいただきました。

日本における肝臓移植の歴史-1989年、京都大学にて生体肝移植に成功

肝臓移植には、脳死判定を受けた方の肝臓を用いる脳死肝移植と、患者さんのご家族などをドナーとする生体部分肝移植があります。現在日本では、後者の生体部分肝移植(以下、生体肝移植)が主に行われています。この理由は、諸外国とは異なる道筋を通り発展した「日本の肝臓移植の歴史」にあります。

1989年、島根医科大学(現在の島根大学)において、日本で初めての生体肝移植手術が行われました。

当時、日本の臓器移植は世界に遅れをとっており、1980年代に移植を必要とする病気を患われていた患者さんは、海外に渡り手術を受けていました。

1988年にオーストラリアにおいて世界で初めて成功した生体肝移植手術の患者さんも、日本人の方でした。日本とオーストラリアは距離的にも近く、当時日本の患者さんが手術を受けるために渡航する国のひとつだったのです。

先述した日本1例目の生体肝移植は残念ながら失敗に終わってしまいましたが、翌1990年には京都大学にて国内2例目の生体肝移植が施行され、続いて信州大学でも3例目の生体肝移植が行われました。

日本で脳死のドナーから臓器移植を受けられるようになったのは、その7年後の1997年10月に「臓器移植法」が施行されてからのことです。

このような歴史があるため、日本における肝臓移植は諸外国とは異なり、生体肝移植から始まったのです。

京都大学で国内2例目の生体肝移植が行われた1990年の報道
京都大学で国内2例目の生体肝移植が行われた1990年の報道 画像提供上本伸二先生

肝臓は部分切除しても再生する唯一の臓器-生体肝移植におけるドナーのメリット

臓器移植手術に使われる臓器のなかには、生体ドナーから提供を受けられるものと、そうでないもの(心臓など)があります。たとえば腎臓は2つあるため、ドナーの方はその一方を提供しても、術前と同じような生活を送ることができます。しかしながら、失った腎臓は再生することはなく、患者さんの腎機能は少なからず落ちてしまうという問題点もあります。

一方、肝臓は他の臓器とは異なり、一部を切除しても1年ほどでもとの大きさに再生し、肝機能も正常化します。

短期的には次項で述べるリスクがあるものの、長期的にみるとリスクが少ないということが、他の臓器と比べた場合の生体肝移植の最も大きなアドバンテージであるといえます。

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