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音楽・スポーツを通じて認知症を考える〜2018年世界アルツハイマーデーイベントレポート

音楽・スポーツを通じて認知症を考える〜2018年世界アルツハイマーデーイベントレポート
NPネットワーク研究会

NPネットワーク研究会

湘南健康大学

湘南健康大学

内門 大丈 先生

医療法人社団彰耀会 メモリーケアクリニック湘南 理事長・院長、横浜市立大学医学部 臨床教授

内門 大丈 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年11月14日です。

2018年9月21日(金)、神奈川県藤沢市・鵠沼海岸駅近くにある「シネコヤ」にて、世界アルツハイマーデーイベントが開催されました。また翌日の22日(土)、Shonan BMWスタジアム平塚でのサッカー試合にて、湘南ベルマーレとの認知症啓発活動のブースを出店しました。主催は、湘南いなほクリニック院長・湘南健康大学代表の内門大丈先生を中心としたメンバーです。

3回目の開催となる今回のイベントでは、シンガーソングライターのさとうさちこさんのライブが開催されました。本記事では、イベントのレポートをお届けします。

※2016年、2017年の世界アルツハイマーデーのレポートはこちらをご覧ください。

『湘南から認知症の方が住みよい街づくりを−2016年世界アルツハイマーデーイベントレポート』

『江ノ島がオレンジにライトアップ–2017年世界アルツハイマーデーイベントレポート』

藤沢市では毎月、「湘南オレンジカフェ」という認知症カフェを開催しています。また、毎年9月21日は、国際アルツハイマー病協会とWHOにより「世界アルツハイマーデー」に制定されており、湘南オレンジカフェでは毎年それに合わせたイベントを開催しています。

 

イベント会場「映画と本とパンの店 シネコヤ」
イベント会場「映画と本とパンの店 シネコヤ」

シネコヤ

今回のイベントは、「映画と本とパンの店 シネコヤ」とのコラボレーションで開催されました。藤沢市では映画館の閉館が相次ぎ、店主の竹中翔子さんは「食事をしながら、映画をみたり本を読んだりする場所を作りたい」という想いでシネコヤをオープンしました。

シネコヤ

シネコヤと湘南オレンジカフェには、ある共通点があります。それは、「パーソナル・ソング」という映画にあります。これは、認知症の方々が思い入れのある音楽を聞くことで、昔の記憶や生きる喜びを取り戻していく様子を記録したドキュメンタリー映画です。

2年前に行われた初めての湘南オレンジカフェでパーソナル・ソングが上映されました。

そして、実はシネコヤがオープンしたときに初めて上映したのも、パーソナル・ソングだったのです。

シネコヤ

シネコヤ

イベントが始まるまでの間、参加者の方々はお店にあるカフェスペースで、「Natural Law」(藤沢市・片瀬江ノ島駅)のフードやお酒を楽しみながら会話をされていました。また、シネコヤとのコラボレーションによる自主制作映画も上映されていました。

シネコヤ 

今回のメインイベントは、シンガーソングライターのさとうさちこさんのライブです。

さとうさちこさんは、認知症の方々へのイベント活動を積極的に行っていて、ご自身も認知症のお母さんと一緒に暮らしています。

内門大丈先生とさとうさちこさんは、ここシネコヤで偶然に出会って意気投合し、今回のイベント開催に至りました。

内門大丈先生
内門大丈先生
さとうさちこさん
さとうさちこさん

シネコヤ

さとうさちこさんは、ご友人と一緒に鵠沼海岸にあるIVY HOUSEで「ツクリバツナギバ」というイベントを定期的に開催しています。

ツクリバツナギバは、認知症の方々を対象にして、上質な音楽やダンスなどのエンターテインメントを楽しんでいただくためのイベントです。音楽が好きな高齢の方々に、よい音楽を聴いていただくことで晴れやかな気分になっていただきたい、という想いを込めて行われています。

シネコヤ

シネコヤ

ライブ開催前には、参加者の方々が自己紹介をされました。自己紹介の中では、一人ずつ「マイパーソナル・ソング」について紹介され、とても和やかな雰囲気となりました。

シネコヤ さとうさちこさん

さとうさちこさん:

私は、認知症の母と暮らして4年になります。母との暮らしには大変なことがたくさんあります。しかしそれは、母が認知症だからではありません。相手がたとえ健常者でも、親でも、子どもでも、恋人でも、友人でも、人と暮らすということは大変なのだということを、母との暮らしの中で強く感じるようになりました。

人と暮らしていくために大切なことは、「いかに相手の気持ちに立って物事を考えるか」だと思っています。言葉にすると簡単なことのように聞こえてしまいますが、実際はとても難しいことです。

認知症の方は、小さな恐怖心から不穏になってしまいます。「どうしたら母はもっと安心してくれるだろう」と日々考えていますが、私が思う安心と、母が思う安心は違うため、恐怖心をなかなか取り払ってあげられないことも多々あります。

また、母は音楽がとても好きなため、眠りにつくときには隣でギターを弾きながら歌を聞かせています。認知症の方は、健常者に比べて感情がとても豊かです。好きな歌を聞いたときには、笑顔で手拍子をしてくれます。

さとうさちこさん

さとうさちこさん

ライブでは、オリジナルソングやカバーソングなど、全11曲を歌われました。曲の合間には、お母さんとの暮らしの中でのエピソードや想いについて明るくお話しをされていました。

ライブ終了後も、お酒を飲みながら会話を楽しんでいる様子がみられました。とてもアットホームな雰囲気で、2018年湘南オレンジカフェ・世界アルツハイマーデーイベントは締めくくられました。

※さとうさちこさんのライブ映像・イベント当日の様子はこちらをご覧ください。

 

さとうさちこさん

さとうさちこさん

左:内門大丈先生 右:メディカルノート創業者・湘南健康大学顧問の井上祥

左:内門大丈先生 右:メディカルノート創業者・湘南健康大学顧問の井上祥

2018年9月の世界アルツハイマー月間にちなみ、認知症に対する市民の理解を広めるために、「湘南ベルマーレ×平塚市×平塚市認知症初期集中支援チーム」のコラボブースを出店し、パネル展示や啓発チラシの配布が行われました。2018年9月22日(土)開催当日は、明治安田生命J1リーグ第27節湘南ベルマーレvsセレッソ大阪が行われました。また、この試合は湘南ベルマーレの「クラブ創立50周年記念試合」として実施されるなど記念すべき日でした。

平塚市総合公園大池周辺特設会場 試合前の時間帯でしたが、大勢の人に集まっていただきました。
平塚市総合公園大池周辺特設会場 試合前の時間帯でしたが、大勢の人に集まっていただきました。
小学生が、キングベルに塗り絵をして、うちわに貼りつけるイベントが行われました。平塚市地域包括ケア推進課職員、平塚市高齢者よろず相談センター職員とともに。
小学生が、キングベルに塗り絵をして、うちわに貼りつけるイベントが行われました。平塚市地域包括ケア推進課職員、平塚市高齢者よろず相談センター職員とともに。
左:平塚市高齢者よろず相談センタースタッフによる啓発チラシの配布  右:湘南ベルマーレのマスコット、キングベルⅠ世くんも世界アルツハイマーデー啓発イベントを応援しにきてくれました。
左:平塚市高齢者よろず相談センタースタッフによる啓発チラシの配布
右:湘南ベルマーレのマスコット、キングベルⅠ世くんも世界アルツハイマーデー啓発イベントを応援しにきてくれました。

2018年から、湘南ベルマーレと平塚市役所及び高齢者よろず相談センターのご厚意ではじまった世界アルツハイマーデー啓発イベント、前日の9月21日(金)世界アルツハマーデー当日には、平塚市八幡山の洋館で、「認知症の方も住み良いまち、平塚」をテーマに、オレンジキャンドルライトアップも行われました。

世界アルツハイマーデー ちらし
 

2016年から湘南オレンジプランとして、湘南地域における認知症に関するさまざまな啓発活動に取り組んできました。2017年4月からは、平塚市より私が院長を務める湘南いなほクリニックが、認知症初期集中支援事業を委託され、これまで以上に、認知症で困っているご本人やご家族の方と多く接する機会を持つようになりました。

通常の診療所での診療だけでは、爆発的に増加する認知症高齢者の問題には対処できないと日々実感しています。今年は「心のお医者さんに聞いてみよう 認知症の人を理解したいと思ったとき読む本 正しい知識とやさしい寄り添い方」(大和出版) という本を監修する機会をいただきました。

今回、音楽やスポーツのイベントに、認知症の啓発活動をコラボした理由は、より多くの人に「認知症」を考えてもらうことで、「認知症の理解」を深め、誰もが住みやすい世の中になるひとつのきっかけになると思ったからです。

2年前からはじめたこの活動が、大勢の人々のご協力のもとに、まだ続けられていることに感謝しています。認知症になっても住みやすいまちになっていく、つまり、認知症の人も、認知症でない人もお互いの違いを理解し、協力し、居心地のよい社会をつくっていくように、これからも取り組んでいきたいと思います。

 

認知症の本

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  • 医療法人社団彰耀会 メモリーケアクリニック湘南 理事長・院長、横浜市立大学医学部 臨床教授

    内門 大丈 先生

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  • 医療法人社団彰耀会 メモリーケアクリニック湘南 理事長・院長、横浜市立大学医学部 臨床教授

    日本精神神経学会 精神科専門医・精神科指導医

    内門 大丈 先生

    1996年横浜市立大学医学部卒業。2004年横浜市立大学大学院博士課程(精神医学専攻)修了。大学院在学中に東京都精神医学総合研究所(現東京都医学総合研究所)で神経病理学の研究を行い、2004年より2年間、米国ジャクソンビルのメイヨークリニックに研究留学。2006年医療法人積愛会 横浜舞岡病院を経て、2008年横浜南共済病院神経科部長に就任。2011年湘南いなほクリニック院長を経て、2022年4月より現職。湘南いなほクリニック在籍中は認知症の人の在宅医療を推進。日本認知症予防学会 神奈川県支部支部長、湘南健康大学代表、N-Pネットワーク研究会代表世話人、SHIGETAハウスプロジェクト副代表、一般社団法人日本音楽医療福祉協会副理事長、レビー小体型認知症研究会事務局長などを通じて、認知症に関する啓発活動・地域コミュニティの活性化に取り組んでいる。

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