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湘南から認知症の方が住みよい街づくりをー2016年世界アルツハイマーデ...
毎年9月21日は、世界アルツハイマーデーということをご存じですか。世界アルツハイマーデーにちなみ、2016年9月21日、神奈川県藤沢市・片瀬江ノ島駅そばのカフェ「NaturalLaw」にて認知症...
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湘南から認知症の方が住みよい街づくりをー2016年世界アルツハイマーデーイベントレポート

公開日 2016 年 10 月 05 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

湘南から認知症の方が住みよい街づくりをー2016年世界アルツハイマーデーイベントレポート
NPネットワーク研究会

NPネットワーク研究会

湘南健康大学

湘南健康大学

内門 大丈 先生

湘南いなほクリニック院長 横浜市立大学医学部臨床准教授

内門 大丈 [監修]

毎年9月21日は、世界アルツハイマーデーということをご存じですか。世界アルツハイマーデーにちなみ、2016年9月 21日、神奈川県藤沢市・片瀬江ノ島駅そばのカフェ「Natural Law」にて認知症やアルツハイマー病についてのイベントが開催されました。

主催は湘南いなほクリニック院長の内門大丈先生を中心としたメンバー。そこで、今回は2016年世界アルツハイマーデーのイベントレポートをお届けします。

世界アルツハイマーデーとは

1994年に国際アルツハイマー病協会とWHOが共同で、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー(アルツハイマー病について啓発する日)」としました。なぜ9月21日なのかというと、9月21日にスコットランドのエジンバラで第10回アルツハイマー病協会国際会議が開催されたからです。アルツハイマーデーは、アルツハイマー病に関する認識を広め、その患者さんやご家族を援助することを目的としています。

「本当にアルツハイマー病のイベント?」と驚くほどアットホーム

イベント外観

イベント開始1時間前の17時から徐々に参加者が会場に集まります。実際に認知症を患った方やそのご家族から、医療関係者、行政関係者、会場となったNatural Lawの常連の方まで、20名ほどが参加しました。

イベントが始まるまでのあいだ、食事や会話を楽しむ様子が見られました。お酒を飲みながらの参加も可能で、一見、認知症やアルツハイマー病についてのイベントとは思えないような和やかな雰囲気です。本イベントの主催者である内門先生の開会挨拶のあと、アルツハイマー病の音楽療法をテーマにしたドキュメンタリー映画「パーソナル・ソング」の上映会が行われました。

「パーソナル・ソング」は、認知症を患う人々が、音楽療法のひとつとして思い入れのある曲を聞くことで、昔の記憶や生きる喜びを取り戻していく様子を記録したドキュメンタリー映画です。映画鑑賞後、内門先生は「認知症に対する音楽療法の試みは日本でもっと取り組まれてほしい」と、認知症の患者さんやご家族の方の実体験を交えながら述べられました。

内門先生ショートレクチャー「認知症を地域で支える」

2025年には高齢者の5人に1人が認知症にー認知症でも暮らしやすい社会を作る「新オレンジプラン」

内

日本における認知症を持つ高齢者は、2012年で462万人、高齢者の7人に1人です。そして団塊の世代が75歳以上になる2025年には、認知症の高齢者は730万人、実に高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。つまり、認知症はこれからますます身近になる時代に突入しているのです。

そこで厚生労働省などが提唱しているのが、「新オレンジプラン」という認知症の高齢者などにやさしい地域づくりを推進するプランです。このプランの実施によって、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる」社会の実現を目指します。

新オレンジプラン7つの柱
新オレンジプラン7つの柱

(出典:厚生労働省 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

新オレンジプランには7つの要素がありますが、特に重要なのは「認知症の人やご家族の視点の重視」です。そこで今回は実際に認知症の方やそのご家族にもこのイベントに来ていただいています。私たちも長く生きていれば、認知症になります。ですから認知症を自分のこととして捉え、どうすれば認知症でも住みよい社会になるのか、を皆で考えることが新オレンジプランであると理解しています。

認知症の方が安心安全に暮らせる街を湘南から全国へ!「湘南オレンジプラン」

しかし、医学部の学生ですら認知症についてよく知らないという現実があります。一般の方であれば、それは言わずもがなです。そこで私たちが新オレンジプランを積極的に実践し、ロールモデルとして湘南地区に「認知症になっても安心して豊かに暮らし続けることができる街」を作る。そして、湘南地区から、日本を牽引していこうと考えました。そして私たちはこの取り組みを、「湘南オレンジプラン」と命名しました。

湘南オレンジプランを実施するにあたっての視点は、次の3つです。

  1. 認知症を考える
  2. 認知症をサポートする
  3. 認知症であっても豊かに暮らす

この3つをテーマにした活動を続けることで、「認知症になっても安心して豊かに暮らし続けることができる街」が実現できると考えています。

湘南オレンジプランの取り組みー今とこれから

湘南オレンジプランでは今後も、上記3つの視点をテーマにしたイベントを湘南地区で開催します。

毎月1回、Natural Lawで認知症カフェを開催し、認知症の患者さんやご家族の方のみならず、地域住民の方にも積極的に参加していただいて認知症についての理解を深める場を作ります。

毎年9月21日の世界アルツハイマーデーでは、様々な場所で認知症に関する啓発・普及活動のイベントと募金活動・寄付を行います。そして2017年4月の京都国際会議にて、この湘南オレンジプランの取り組みを発表する予定です。

2016年の世界アルツハイマーデーのイベントは本イベントの他にも各場所で行われています。湘南地区のさまざまなカフェや医療機関で、認知症啓発ポスターを設置して募金活動を行っています。

また、広告医学研究会ではこのような空白の吹き出しのポスターを作成し、湘南地区の地域住民の方々に認知症について考えるきっかけを作る取り組みも行っています。「吹き出しの中にどういう言葉がはいるだろうか」ということを考えることで、認知症の予防につなげようとするものです。

通常のポスターのようにポスターを見た方に一方的に訴えるだけでなく、「どんな言葉がはいるだろう」という双方向のコミュニケーションをデザインによって実現できるのが広告医学の取り組みです。このような認知症について一歩立ち止まって考えることのできる環境を作ることで、湘南地区の方々が少しでも認知症について考える機会を持てたら、と考えています。

広告医学研究会 認知症啓発ポスター(デザイン:豊田玉之介氏)

もっと多くの人に認知症について考える機会をー内門先生が世界アルツハイマーデーイベントにかける思い

以前から自身が認知症の患者さんを診るひとりの医師として、目の前の患者さんを診ること以外で何かしらの貢献がしたいと考えていました。啓発イベントを開催することでより多くの方に認知症について考えるきっかけを創出できるのではないかと思い、イベントを開催するに至りました。

参加者が食事やお酒を楽しみながら歓談できる形式にしたのは、従来の講演会形式のように医療関係者と患者さんとの距離があるものよりも、もっとフラットに相談できる形式にしたかったからです。また、フランクな形にすることで、若者など今まで認知症について興味関心の低かった層にもアプローチできると考えています。

若い頃は、認知症について考えるきっかけを持つことはおろか、自分が将来認知症になるかもしれないという認識すら抱きづらいでしょう。そこで本イベントに参加することで認知症について考える機会を持ち、「これは将来の自分にも起こりうることだ」と自分ごとに昇華できれば、今後増えていく認知症の患者さんにどう接するべきか自然と理解するようになると思います。

規模は大きくはないものの、地域住民の方が気軽に参加できるイベントを地道に続ければ、イベントに参加した方からまた別の方へと、認知症に対する啓発活動のムーヴメントが起きると考えています。そしてこの活動が世代を超えて10年、20年と続くことで、認知症の方が安心して豊かに暮らし続けることのできる社会が実現できるのではないでしょうか。

 

記事1:世界アルツハイマーデーに向けてアルツハイマー型認知症を考える―患者さんとご家族に対する繁田雅弘先生の思い

記事2:世界アルツハイマーデーに向けてレビー小体型認知症(DLB)を考える―「物忘れ」から始まる認知症がすべてではない

記事3:メンタルヘルスからアルツハイマー病の予防を考える―世界アルツハイマーデーに向けた平安良雄先生の思い

記事4:湘南から認知症の方が住みよい街づくりをー2016年世界アルツハイマーデーイベントレポート

 

1996年横浜市立大学医学部卒業。2004年横浜市立大学大学院博士課程(精神医学専攻)修了。大学院在学中に東京都精神医学総合研究所(現東京都医学総合研究所)で神経病理学の研究を行い、2004年より2年間、米国ジャクソンビルのメイヨークリニックに研究留学。2006年医療法人積愛会横浜舞岡病院を経て、2008年横浜南共済病院神経科部長に最年少で就任。現在はいなほクリニックグループ共同代表として認知症在宅医療を推進する一方、NPネットワーク研究会代表世話人として認知症診療の充実ならびに認知症情報のアウトリーチ活動に精力的に取り組んでいる。

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