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認知症を包括的に診療するための取り組み
研究会設立の背景−認知症診療における各診療科の状況を例に現在、高齢者人口は増加の一途をたどり、それに伴いアルツハイマー型認知症をはじめとする認知症高齢者数は、平成24年時点で推計約462万人に上...
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認知症を包括的に診療するための取り組み

公開日 2015 年 05 月 06 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

認知症を包括的に診療するための取り組み
内門 大丈 先生

湘南いなほクリニック院長 横浜市立大学医学部臨床准教授

内門 大丈 先生

NPネットワーク研究会

NPネットワーク研究会

研究会設立の背景−認知症診療における各診療科の状況を例に

現在、高齢者人口は増加の一途をたどり、それに伴いアルツハイマー型認知症をはじめとする認知症高齢者数は、平成24年時点で推計約462万人に上ることが厚生労働省研究班の大規模研究で判明しています。それに軽度認知障害を含めると65歳以上人口の約4分の1が、認知機能の問題をかかえています。

認知症診療に携わる医師は、精神科、神経内科、老年内科、脳神経外科と多岐にわたりますが、それぞれの診療科からの視野で診療が行われているのが現状です。認知症疾患の鑑別は容易でなく、早期診断・早期治療のために、全国で認知症疾患センターの整備がすすめられてきています。それに伴い大学病院などでは認知症を含めた神経変性疾患や高齢者の精神障害の診断や治療を複数科が協力して行っている場合が散見されつつありますが、多くの場合は各医師の裁量に任されていることが多いのが実態です。

また、日本は高齢化先進国であり、認知症を含む高齢者の診療、研究などで知見を蓄積できる環境的なアドバンテージがありますが、連携が十分でないことがそのアドバンテージを十分に生かしきれていない一因となっております。2014年現在、政府は医療を成長産業と考え、規制緩和を進めていますが、現状では連携の不十分さによる知見分散が周辺産業の推進やR&Dを遅らせている可能性があり、国益を損なう一因となっています。

研究会設立の目的と今後の展開

近年、自殺対策の一環の中で、かかりつけ医(G)と精神科専門医(P)との連携「G-Pネット」の取り組みが全国で広がってきました。今回、その先例を参考に、神経内科医(Neurologist)、脳神経外科医(Neurosergion)、リハビリテーション医(Neurorehabilitation doctor)、神経放射線科医(Neuroradiologist)、神経病理医(Neuropathologist)と精神科医(Psychiatrist)による連携を目指すため、「N-Pネット」を設立いたしました。それぞれのプレイヤーのネットワークを緊密にし、互いの領域に関しての知見を共有していくことで知識を深め、高齢者の精神障害、認知症やパーキンソン病を含む神経変性疾患の診断および治療技術を向上させていくことを目指します。

さらには感染症、代謝・栄養障害、内分泌疾患に伴い精神症状や神経症状を引き起こす疾患や特発性正常圧水頭症など、診療科がオーバーラップする分野を積極的に扱っていき、N(神経領域)、P(精神領域)に留まらない活動にも繋げていきます。このネットワークを元に地域の中での顔の見える連携を目指し、地域医療への貢献(有機的な病診連携・診診連携)も模索していきたいと考えております。

また、N-Pネットはミクロな視点での一人一人の自己研鑽や地域連携を超えて、今まで分散されていた知見の集積とそのアウトリーチ活動を様々なメディアを通して積極的に実行し、本邦における診療技術の向上に貢献するだけではなく、高齢化先進国としての周辺産業育成への協力を積極的に行っていきます。

1996年横浜市立大学医学部卒業。2004年横浜市立大学大学院博士課程(精神医学専攻)修了。大学院在学中に東京都精神医学総合研究所(現東京都医学総合研究所)で神経病理学の研究を行い、2004年より2年間、米国ジャクソンビルのメイヨークリニックに研究留学。2006年医療法人積愛会横浜舞岡病院を経て、2008年横浜南共済病院神経科部長に最年少で就任。現在はいなほクリニックグループ共同代表として認知症在宅医療を推進する一方、NPネットワーク研究会代表世話人として認知症診療の充実ならびに認知症情報のアウトリーチ活動に精力的に取り組んでいる。