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アルツハイマー病にはどんな症状が現れるの?〜ほかの認知症とは症状が異なる〜

アルツハイマー病にはどんな症状が現れるの?〜ほかの認知症とは症状が異なる〜
内門 大丈 先生

湘南いなほクリニック 院長、横浜市立大学医学部 臨床准教授

内門 大丈 先生

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アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は、認識や記憶、判断をする力が障害を受けることで社会生活に何らかの支障をきたす状態を指す認知症の原因の1つだと考えられています。一般的にもの忘れや言葉の異常、思考力や判断力の低下などが徐々に進行し、症状が出てから2〜8年で約半数が寝たきりになる病気といわれてきました。しかし、最近では認知症の生存期間が延長している可能性が指摘されています。

本記事ではアルツハイマー病の特徴や症状、検査、治療などについて詳しく解説します。

アルツハイマー病は認識や記憶、判断をする力が障害を受けることで社会生活に何らかの支障をきたす状態を指す認知症の原因の1つとされています。2012年時点の認知症の患者数は460万人以上と推定され、そのうち半数以上をアルツハイマー病が占めています。

一般的に40歳代以降の幅広い年代で発病し、なかでも65歳以上の女性の患者が多いといわれ、高齢者の数が増加するとともにアルツハイマー病患者は今後より増えていくと考えられています。

アルツハイマー病の根本的な原因は、脳の神経細胞が通常の老化に比べて早く減ってしまうことだと考えられています。これにはいくつかの危険因子が判明しています。たとえば遺伝子異常によってアポリポたんぱくE(ApoE)に影響が及ぶことが挙げられます。ApoEをつかさどる遺伝子にはいくつかのタイプがあり、ε4(イプシロン4)を持っているとアルツハイマー病のリスクが高く、逆にε2を持っているとリスクが低いといわれています。

また、糖尿病高血圧といった生活習慣病、頭部外傷の既往がある人もリスクが高まるほか、加齢そのものが危険因子であるとされています。

アルツハイマー病の主な症状はもの忘れから始まり、徐々に思考力、判断力、学習能力も低下し、最終的には記憶がなくなって発語も減り、完全に寝たきりになるといわれています。ただし、アルツハイマー病の進行には個人差があるため、この限りではありません。

アルツハイマー病を発症すると、まずはもの忘れがゆっくりと進行していきます。昔のことはよく覚えていても最近のことを覚えられず、日付や道順が分からなくなることもあります。また、物をしまった場所を忘れて“盗られた”と思い込む“物とられ妄想”が現れることもあります。進行すると昔のことも忘れ、時間や場所の見当識もさらに低下していきます。さらに、言語の異常や食事、入浴、トイレなどの日常生活も1人で行うことが難しくなり、徘徊や夜間せん妄(夜になると興奮して騒ぐ)が見られることもあります。

最終的には記憶が完全になくなり、言語の理解や発語ができない、歩行障害、失禁などの症状が現れ、最初に症状が現れてから2〜8年で約半数が寝たきりになるといわれています。このようにアルツハイマー病は徐々に進行していくため、早期に気付いて適切な診断や治療が受けることが重要と考えられます。

認知症にはさまざまな種類があり、アルツハイマー病のほかにもレビー小体型認知症脳血管性認知症などがあります。

先述のとおり、アルツハイマー病は脳の神経細胞が減ることで記憶力、判断力、思考力の低下などが引き起こされる認知症ですが、レビー小体型認知症は神経細胞の中にレビー小体と呼ばれるたんぱく質がたまることでさまざまな認知機能が失われる認知症です。また、症状には幻視がよく見られるという特徴があります。

一方、脳血管性認知症は脳梗塞などの脳血管疾患によって認知機能が低下する認知症です。症状はアルツハイマー病と似ており、アルツハイマー病を併発していることもあるとされています。このように、なかにはアルツハイマー病と症状が似ている認知症や、そのほかの病気もあり、アルツハイマー病を自身で鑑別することは困難です。

アルツハイマー病が疑われる場合の診断は、主に病歴などの問診、認知症かどうか調べる簡単なテストなどを行った後、採血やMRI、脳血流検査、脳波検査などの検査をします。MRIによる脳の萎縮パターンや、脳血流検査による血流低下パターンの結果、並びにほかの認知症の可能性が除外できるかどうかによってアルツハイマー病の診断が下されます。

アルツハイマー病を根本的に治す薬は、現時点では存在しません。ただし、アルツハイマー病による症状を治療する薬はいくつか存在しています。

たとえば、もの忘れなどの緩和を目的としたドネペジル塩酸塩、睡眠障害に対しては睡眠薬、夜間せん妄などには抗精神病薬、抑うつ状態には抗うつ薬など、症状によってさまざまな薬が処方されます。さらに、必要に応じてリハビリテーションやデイケアなどの利用を検討することもあります。

もの忘れはアルツハイマー病の初期の代表的な症状ですが、アルツハイマー病以外の認知症でも、もの忘れの症状が現れることがあります。また、硬膜下血腫や水頭症脳腫瘍などを原因として発症する認知症の場合は、早期発見、早期治療ができれば治すことができるため、もの忘れなどの症状に気づいた時点で早めに医療機関の受診を検討する必要があります。

現時点でアルツハイマー病自体の治療薬は存在しませんが、もの忘れやそのほかのさまざまな症状を緩和する薬での治療は可能です。そのため、気になる症状がある場合は内科、精神科、脳神経外科または認知症専門外来などの受診を検討するとよいでしょう。

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  • 湘南いなほクリニック 院長、横浜市立大学医学部 臨床准教授

    日本精神神経学会 精神科専門医・精神科指導医

    内門 大丈 先生

    1996年横浜市立大学医学部卒業。2004年横浜市立大学大学院博士課程(精神医学専攻)修了。大学院在学中に東京都精神医学総合研究所(現東京都医学総合研究所)で神経病理学の研究を行い、2004年より2年間、米国ジャクソンビルのメイヨークリニックに研究留学。2006年医療法人積愛会横浜舞岡病院を経て、2008年横浜南共済病院神経科部長に就任。現在はいなほクリニックグループ共同代表として認知症在宅医療を推進する一方、NPネットワーク研究会代表世話人として認知症診療の充実ならびに認知症情報のアウトリーチ活動に精力的に取り組んでいる。

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