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アルツハイマー型認知症の診断に用いられる“認知機能のテスト”とは?~診断基準になる症状の特徴~

アルツハイマー型認知症の診断に用いられる“認知機能のテスト”とは?~診断基準になる症状の特徴~
小野 賢二郎 先生

金沢大学 脳神経内科 診療科長

小野 賢二郎 先生

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アルツハイマー型認知症認知症の原因疾患の1つで、“アルツハイマー病”と呼ばれることもあります。アルツハイマー型認知症とは、もの忘れの症状から始まり、徐々に思考力、判断力、学習能力などが低下していく病気のことを指します。なお、認知症は病名ではなく記憶力や判断力が低下し社会生活に支障がある状態をいいます。認知症にはいくつかの種類がありますが、なかでも患者の半数がアルツハイマー型認知症です。

本記事ではアルツハイマー型認知症をはじめとする認知症が疑われる場合、診断のためにどのような検査が行われるのでしょうか。

アルツハイマー型認知症が疑われる場合、まずは問診や認知機能のテストが行われ、米国精神医学会またはNINCDS-ADRDA(アメリカ国立老化研究所 アルツハイマー協会)研究班の基準に基づいて診断されます。以下では、米国精神医学会による診断基準を解説します。

米国精神医学会による診断基準は以下のとおりです。

  • 記憶障害に加え、失語・失行(パターンや順序にのっとった作業ができない)
  • 失認(たとえば視覚などの特定の感覚をとおして対象を認知できない)
  • 遂行機能障害(計画的な行動ができない)の中の1つ以上の障害が認められる認知障害がある
  • 認知障害が社会的機能や職業的機能に大きな影響を与え、以前に比べて機能が著しく低下している
  • 緩やかに発症し、認知機能の低下が継続的である
  • 認知障害の原因が、中枢神経系疾患(脳血管疾患や脳腫瘍(のうしゅよう)など)、特定の全身性疾患(甲状腺機能低下症神経梅毒、HIV感染症など)、特定の物質が誘発する病気でない
  • 障害はせん妄(突然意識障害が起こり混乱すること)があるときだけ現れるものではない
  • うつ病性障害や統合失調症などの精神障害ではない

これはNINCDS-ADRDAの基準と大きな違いはありませんが、NINCDS-ADRDAの基準ではアルツハイマー型認知症らしくない症状として、突発的に意識を失う、視野の欠損、体の左右どちらかに麻痺がある、知覚脱失(感覚がなくなる)が挙げられるなどが異なります。アルツハイマー型認知症の診断をする際は認知症をきたすほかの原因を除外する必要があるため、このような特徴からの鑑別が大切になります。

認知機能のテストには、MMSE(Mini-Mental State Examination)が広く用いられています。11問の質問に答えることで、自分が置かれた状況を判断する力、記憶力、言語力、計算力などを判断することができます。30点満点中総得点が23点以下である場合は、認知機能低下または認知症が疑われます。また、27点以下で軽度の認知機能の低下を疑うこともあります。

なお、診断には複数の検査を組み合わせることが推奨されており、日本ではMMSEと並んで長谷川式のテストが広く行われています。内容はMMSEとほぼ同じで9問の質問に答え、30点満点中20点以下であった場合に認知症が疑われます。

問診とテストの後に行われる検査として、頭部MRI、脳血流検査、脳波検査などがあります。

頭部MRIでは脳の萎縮パターンが分かり、脳血流検査では脳のどの部位で血流が低下しているかどうかが分かります。アルツハイマー型認知症の根本的な原因は脳の神経細胞が破壊されることだとされているため、これらの検査が診断において重要になります。また、アルツハイマー型認知症の場合には一般的に、脳波は正常である、または周波数の低い波が多くなるという特徴があるため、脳波も診断時に必要な材料となります。

認知機能のテストは年齢、今日の日付や今いる場所などの簡単な質問を中心に構成されています。人によってはプライドを傷つられたような気持ちになる可能性がありますが、必要な検査なので不信感を持たないようにしましょう。また、ほかの病気の可能性を踏まえてさまざまな質問をされたり、多くの検査が行われたりすることがあります。検査が長時間にわたることもあるため、できれば家族や周囲の人が付き添えるとよいでしょう。

現時点でアルツハイマー型認知症を根本的に治療する薬はありませんが、アルツハイマー型認知症に伴うさまざまな症状は薬で緩和することが可能とされています(2020年7月時点)。また、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の中には早期治療で完治や症状緩和が見込めるものもあります。そのため、もの忘れなどの認知症が疑われる症状に気付いた場合は早めの受診を検討するとよいでしょう。病院は、脳神経内科、精神科、脳神経外科のほか、認知症専門外来などの診療科を受診するとよいでしょう。本人が嫌がる、検査に疲れてしまうといったこともあるため、できる限り家族や周囲の人が付き添うようにしましょう。

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