S414x320 3a9f3220 71c0 4cad 8f10 229337f71fc0

インタビュー

公開日 : 2016 年 01 月 16 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

アルツハイマー病とは-アルツハイマー病は数ある認知症の原因のひとつである

金沢大学 医薬保健研究域医学系 教授
山田 正仁先生

アルツハイマー病は、ほとんどの方がその名前を聞いたことがある病気ではないでしょうか。また、「すべての認知症=アルツハイマー病」と思われている方も多いかもしれません。しかし、認知症の原因となる病気はいくつかもあり、アルツハイマー病のだけが認知症の原因ではないのです。本記事では、認知症の種類と認知症を正確に診断することの大切さについて、金沢大学神経内科 大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(神経内科学) 教授の山田正仁先生にお話しいただきました。

アルツハイマー病の歴史

アルツハイマー病は、ドイツのアロイス・アルツハイマー博士の名前から命名されました。1907年、アルツハイマー博士は、進行性の認知症で死亡した50歳台の女性の脳に老人斑と神経原線維変化という特徴的な構造を発見しました。(参考:「アルツハイマー病の原因-アルツハイマー病には3つの特徴がある」)当初は、この病理学的特徴を有する病態は初老期(65歳未満)発症のまれな認知症と考えられましたが、老年期に発症する認知症にも同様の病理所見がみられることが判明し、発症年齢では区別されないことから、アルツハイマー病(AD)もしくはアルツハイマー型認知症と呼ばれるようになりました。すなわち、進行性の認知症症状を呈し、神経細胞脱落と共に老人斑や神経原線維変化を認める疾患がアルツハイマー病と定義されます。

「認知症」という用語は、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。まだ認知機能は低下しているものの、日常生活・社会生活に支障がない状態を軽度認知障害(MCI)と呼びます。すなわち、軽度認知障害は認知症でも正常でもないグレイゾーンの状態です。

アルツハイマー病は、老人斑や神経原線維変化といった、特徴的な脳の病変をもっている状態を指します。近年検査法の進歩により、死後に脳を解剖して調べなくてもアルツハイマー病の特徴的な脳の病変を検査で検出できるようになってきました。その結果、軽度認知障害の段階、さらには認知機能が正常範囲の段階でも脳にアルツハイマー病の変化がみられることがわかってきており、それらは認知症になる前の段階と考えられています。すなわち、アルツハイマー病は、①発症前の無症状の段階(発症前アルツハイマー病)、②軽度認知障害の段階(アルツハイマー病による軽度認知障害)、③認知症の段階(アルツハイマー病による認知症)の順に徐々に進行していきます。「アルツハイマー型認知症」という病名は、アルツハイマー病に特徴的な脳の病変をもち認知症の状態であること、すなわちアルツハイマー病による認知症を意味します。

アルツハイマー病の疫学

厚生労働省によると、日本における65歳以上の認知症有病率は15%といわれています。そのうち約6割、つまり65歳以上の10人に1人がアルツハイマー病とされています。上記の認知症有病率を男女別・年齢別にみると、男女共に 75 歳未満では5%に満たないものの、75~79 歳では 10%を超えています。そして、80 歳からはさらに上昇して男女ともに高い割合となります。80~84 歳では男性は 6 人に 1 人、女性は 4 人に 1 人が認知症有病者となり、同年代で比較すると女性のほうが高くなる傾向にあります。さらに、認知症に匹敵する数の軽度認知障害の人がいます。すなわち、高齢者の3割近くは認知症あるいは軽度認知障害の状態にあります。そのうちの6割はアルツハイマー病と考えられます。

アルツハイマー病のページへ

関連記事