インタビュー

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の早期発見のために

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の早期発見のために
小野 賢二郎 先生

金沢大学 脳神経内科 診療科長

小野 賢二郎 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年04月27日です。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)とは、全身にアミロイドと呼ばれる線維状物質が沈着し(溜まり)、しびれや感覚障害、吐き気や下痢、視力の低下などが現れる病気です。

病気が知られていないために、症状が軽度な場合、発見が難しいといわれています。今回は、昭和大学の教授であり、TTR-FAPの診療や研究に尽力していらっしゃる小野 賢二郎先生に、TTR-FAPの早期発見のために患者さんが注意すべきことについてお話しいただきました。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の原因や症状については記事1『トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とはどんな病気?原因や症状について』をご覧ください。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)では、病気の早期発見が大切です。それは、早期発見によって治療を受けることができれば、病気の進行を抑えることができるからです。

記事1『トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とはどんな病気?原因や症状について』でお話ししたように、2018年4月現在、TTR-FAPの主な治療の選択肢には主に薬による治療と肝移植があります。どちらも早期で治療を受けることができれば、アミロイドの沈着を抑えることにつながります。

また、治療法のひとつである肝移植を受けるためには、年齢や、心臓や腎臓の機能に障害がないことなど、いくつかの条件が定められています(条件は各施設によって多少異なります)。

早期に診断を受けた方がこれらの条件を満たし、肝移植を受けられる可能性が高くなるといえます。肝移植の適応の可能性を残すためにも、病気の早期発見は大切でしょう。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)は、常染色体顕性遺伝と呼ばれる遺伝形式で伝わる病気です。両親のいずれかが病気である場合、その子どもは50%の確率で病気を引き継ぐといわれています。このため、TTR-FAPの多くは、家族歴(患者の家族や近親者の病歴や健康状態、死因などの記録)が明らかな症例です。

2018年4月現在、日本では、特に発症が多く認められる地域があることがわかっています1)2)。これら病気が多く発見されている集積地では、家族歴が明らかな症例がほとんどです。

診断を受ける患者さん

しかし、必ずしも家族歴が明らかな発症ばかりではありません。近年では遺伝が認められない症例も発見されています。特に集積地以外の地域で発症が認められる場合、多くは家族歴が明らかではないケースです3)

これら病気が多くみつかっている地域とそれ以外の地域では、発症年齢が異なります。病気が多くみつかっている集積地では、20〜40歳代の若年での発症が多いことがわかっています。一方、そうではない非集積地では50歳以上の高齢で発症することが多いといわれています。

また、集積地では病気の発症に男女差は認められていませんが、非集積地では約4.5対1の割合で、男性に多いことがわかっています。

さらに、症状の程度にも違いがあると考えられます。

集積地では、便秘や立ちくらみなど自律神経障害が現れることが多いことがわかっています。さらに、温度や痛みを感じにくくなる解離性感覚障害も典型的な症状として現れるといわれています。非集積地では、これらの症状が現れたとしても軽度であることが多いといわれています。

特に非集積地では、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)の病気の発見は難しいといわれています。それは、病気自体が知られていないからです。お話ししたように、非集積地ではご家族のなかに同じ病気の診断を受けた方がいないことが多く、TTR-FAPを疑うことが難しいという現状があります。

また、症状が軽症であるために発見されにくかったり、他の病気と間違われやすかったりすることも考えられます。

間違われやすい病気には、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)やアルコール性神経障害、糖尿病性神経障害などがあります。症状が手足のしびれなどの神経障害のみの場合には、これらの病気の診断を受けるケースが多いでしょう。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)は発症当初は症状が軽度であることが多く、なかなか気づくことが難しいかもしれません。しかし、手足のしびれや感覚の鈍さなどが現れた場合には、この病気の可能性があります。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)やアルコール性神経障害、糖尿病性神経障害などの診断を受け、治療を受けてもなかなか改善されない場合にはこの病気を疑うことが大切でしょう。

少しでも可能性があるようなら、脳神経内科を受診してほしいと思います。症状の確認とともに、生検(患部の一部を取って、顕微鏡などで調べる検査)によってアミロイドが沈着していないか調べることがこの病気の診断につながるでしょう。

また、家族歴が明らかでない場合にも、ご家族のなかに手足のしびれや立ちくらみなどの症状を訴えていた方がいないかを思いだしてほしいと思います。TTR-FAPの診断を受けていないけれど、実はご家族のなかに、この病気の方がいる可能性もあるからです。

小野先生

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーTTR-FAP)は広く知られている病気ではありません。私はこれからも病気の啓発とともに、早期発見に努めていくつもりです。

繰り返しになりますが、他の病気の診断を受けているなど、TTR-FAPが発見されていない可能性も考えられます。手足のしびれや感覚の鈍さなどがあり、治療をしてもなかなか改善されない場合には、この病気を思いだしてほしいと思います。

 

【参考文献】

1)Araki S, Mawatari S, Ohta M, Nakajima A, Kuroiwa Y. Polyneurotic amyloidosis in a Japanese family. Arch Neuro, 18:593-602,1968

2)Kito S, Itoga E, Kamiya K, Kishida T, Yamamura Y. Studies on familial amyloid

polyneuropathy in Ogawa Village, Japan. Eur Neurol,19(3):141-51,1980

3) Koike H, Hashimoto R, Tomita M, et al. Diagnosis of sporadic transthyretin Val30Met familial amyloid polyneuropathy: a practical analysis. Amyloid 2011;18:53-62.

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