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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP...
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とは、トランスサイレチン(たんぱく質)の変異によって、全身にアミロイドと呼ばれる物質が沈着する病気です。アミロイドが沈着す...
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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とはどんな病気?原因や症状について

公開日 2018 年 04 月 26 日 | 更新日 2018 年 04 月 27 日

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とはどんな病気?原因や症状について
小野 賢二郎 先生

昭和大学医学部内科学講座 脳神経内科学部門 教授

小野 賢二郎 先生

目次

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とは、トランスサイレチン(たんぱく質)の変異によって、全身にアミロイドと呼ばれる物質が沈着する病気です。アミロイドが沈着すると、しびれや感覚障害、吐き気や下痢、視力の低下など全身にさまざまな症状が現れるようになります。

今回は、昭和大学の脳神経内科教授であり、TTR-FAPの診療や研究に尽力していらっしゃる小野 賢二郎先生に、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の原因や症状についてお話しいただきました。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とは?

遺伝的にアミロイドが沈着する病気

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)とは、トランスサイレチンと呼ばれるたんぱく質が遺伝的に変異を起こすことが原因となり、アミロイドと呼ばれる物質が全身に沈着する(溜まる)病気です。病気を発症すると、しびれや感覚障害、吐き気や下痢、視力の低下など全身にさまざまな症状が現れます。

この病気は、「家族性アミロイドポリニューロパチー」と呼ばれてきましたが、近年では「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」と呼ばれるようになっています。

アミロイドはどこに沈着する?

アミロイドは主に末梢神経(全身の器官・組織に分布している神経)、自律神経系、心臓、腎臓、消化管、目などに沈着します。最終的にはこれらすべての場所に沈着するといわれていますが、沈着する順番は人によって異なります。たとえば、神経から沈着するケースもあれば、消化管から沈着するケースもあります。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の原因

トランスサイレチンの遺伝的な変異によって起こる

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)は、トランスサイレチンと呼ばれるたんぱく質の遺伝的な変異が原因で起こります。

トランスサイレチンは主に肝臓でつくられるたんぱく質であり、甲状腺ホルモンなど他の物質と結合しながらビタミンAを輸送するはたらきをもっています。遺伝的な変異によってトランスサイレチンが病的に固まる(凝集する)と、アミロイドと呼ばれる線維状の物質になり、これが全身に沈着することになります。

遺伝子に異常が起こる原因はわかっていない

遺伝子

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)では、現在、100種類以上の遺伝子変異が報告されています1)。なかでも、日本でもっとも多く認められる遺伝子変異はVal30Metです2)。これは、トランスサイレチンの30番目のアミノ酸バリンがメチオニンに変異するものを指します。

2018年4月現在、このように遺伝子に異常が起こる原因はわかっていません。また、遺伝子変異があるとどれくらいの確率で発症するかも明らかにはなっておらず、研究が続けられています。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)と遺伝の関係

病気が遺伝する確率は?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)は、常染色体顕性遺伝と呼ばれる遺伝形式で伝わる病気です。両親のいずれかが病気の場合、その子どもは50%の確率で病気を引き継ぐといわれています。このため、TTR-FAPの多くは、家族歴(患者の家族や近親者の病歴や健康状態、死因などの記録)が明らかな症例です。

2018年4月現在、日本では、特に発症が多く認められる地域があることがわかっています3)4)5)。これら病気が多く発見されている地域では、家族歴が明らかな症例がほとんどです。

遺伝が認められない症例も発見されている

しかし、必ずしも家族歴が明らかな発症ばかりではありません。記事2『トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の早期発見のために』で詳しくお話ししますが、近年では遺伝が認められない症例も発見されています。特に集積地以外の地域で発症が認められる場合、多くは家族歴が明らかではないケースです6)

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の症状

しびれや感覚障害・吐き気や下痢など

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)では、アミロイドが沈着する場所によってさまざまな症状が現れます。

たとえば、末梢神経にアミロイドが沈着するとしびれや感覚障害が現れたり、自律神経系に沈着すると立ちくらみや排尿、便の障害などが現れたりします。ほかにも、消化管に沈着すると吐き気や下痢を起こしたり、心臓に沈着すると心不全や不整脈、腎臓に沈着すると腎不全を起こしたりします。アミロイドが目に沈着した場合には視力低下を引き起こすことが多いでしょう。

TTRーFAP 症状

病気の進行

病気の進行についてお話しすると、最初はしびれや感覚障害などが現れることが多いでしょう。徐々に栄養障害を起こしたり、腎不全、心不全を起こしたりします。なかでも心不全によって亡くなるケースが多く、2018年4月現在、肝移植を行わない場合、患者さんの平均余命は発症から約10年といわれています。

これはあくまで平均年数です。症状や進行には個人差が大きいことがわかっています。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の診断

生検や遺伝子検査によって診断を行う

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーでは、まず症状を確認します。次に十二指腸や胃、腹壁などの生検(患部の一部を取って、顕微鏡などで調べる検査)を行い、アミロイドの存在を確認します。さらに、遺伝子検査でトランスサイレチンに異常があることを確認できれば確定診断(何の病気なのかを確定させる診断)につながります。

また、限られた施設であれば免疫染色という検査方法によって、さらに詳細なアミロイドの沈着を調べることもできます。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の治療

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の治療の選択肢には、主に薬による治療と肝移植があります。さらに、現れている症状を和らげる治療を行うこともあります。

アミロイドの沈着を抑える薬の服用

TTR-FAPの治療では、薬の服用を行います。患者さんは、この薬を服用することによって、アミロイドの沈着を抑えることができると考えられています。さらに、患者さんの状態によって、痛み止めの薬の服用など、症状を和らげる治療を行うこともあります。

肝移植で肝臓からのアミロイドの生成を抑える

肝臓

また、健康な人の肝臓を移植する肝移植という選択肢があります。肝臓を移植することによって肝臓で新たにアミロイドがつくられることがなくなり、病気の進行を抑えることができます。脳や目の網膜でもアミロイドはつくられるため、肝移植によってアミロイドの沈着を完全に抑えることはできません。しかし、もっとも多くのアミロイドを生成する肝臓からのアミロイドを抑えることで病気の進行の抑制につながります。

なお、脳や目の網膜からつくられるアミロイドを抑えるため、たとえ肝移植を受けたとしても薬の服用は続けたほうがよいとされています。

新たな治療法の可能性

TTR-FAPの新たな治療法として、今後は遺伝子サイレンシング療法の可能性が考えられます。遺伝子サイレシング療法とは、病気の原因となる遺伝子の異常を抑える治療法です。2018年3月現在、TTR-FAPの新たな治療法として、遺伝子サイレンシング療法の臨床試験(新しい薬や治療法を開発するために、人で効果や安全性を調べる試験)が進められています。

記事2『トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の早期発見のために』では、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の早期発見のために注意すべきことについてお話しいただきました。

 

【参考文献】

1)Connors LH, Lim A, Prokaeva T, Roskens VA, Costello CE. Tabulation of human transthyretin (TTR) varian9ts, 2003. Amyloid, 10:160-84,2003

2)Koike H, Sobue G. Diagnosis of familial amyloid polyneuropathy: wide-ranged clinicopathological features. Expert Opin Med Diagn 2010;4:323-331.

3)Araki S, Mawatari S, Ohta M, Nakajima A, Kuroiwa Y. Polyneurotic amyloidosis in a Japanese family. Arch Neuro, 18:593-602,1968

4)Kito S, Itoga E, Kamiya K, Kishida T, Yamamura Y. Studies on familial amyloid

polyneuropathy in Ogawa Village, Japan. Eur Neurol,19(3):141-51,1980

5)Takahashi R, Ono K, Shibata S, Nakamura K, Komatsu J, Ikeda Y, Ikeda T, Samuraki M, Sakai K, Iwasa K, Kayano D, Yamada M. Efficacy of diflunisal on autonomic dysfunction of late-onset familial amyloid polyneuropathy (TTR Val30Met) in a Japanese endemic area. J Neurol Sci, 15 July 2014 (on line)

6)Koike H, Hashimoto R, Tomita M, et al. Diagnosis of sporadic transthyretin Val30Met familial amyloid polyneuropathy: a practical analysis. Amyloid 2011;18:53-62.

 

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)(小野 賢二郎 先生)の連載記事

脳神経内科の医師として、主にアルツハイマー病、パーキンソン病、家族性アミロイドポリニューロパチーなどの神経変性疾患を専門とし、診療や研究に尽力している。また、教授を務める教室では、後進の指導にも注力。自由で活気のある教室をつくりあげている。