まんせいえんしょうせいだつずいせいたはつしんけいえん

慢性炎症性脱髄性多発神経炎

同義語
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,CIDP
最終更新日:
2023年12月13日
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2023/12/13
更新しました
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概要

慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは、2か月以上にわたって末梢神経(まっしょうしんけい)に炎症が生じる病気です。難病に指定されており、発症すると手足の筋力の低下やしびれなどの神経症状が現れます。

患者数は約5,100人(2021年3月末時点)で比較的男性に多く、2〜70歳まで幅広く発症することが報告されています。治療後も寛解(症状が治まること)と再発を繰り返したり、徐々に症状が進行したりするため、長期的な治療や経過観察が必要です。

原因

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因は、末梢神経の神経線維を覆う髄鞘(ずいしょう)(別名:ミエリン)を攻撃する自己抗体が作られ、ミエリンが損傷するためと考えられていますが、詳しいメカニズムは分かっていません。

末梢神経は、電気信号によって運動や感覚などの刺激を伝達します。ミエリンには電気ケーブルを包む絶縁体のような役割があり、これによって電気信号の伝達が素早く正確に行われます。しかし、ミエリンが破壊されると信号が正常に伝わらないため、筋力が低下したり感覚が分かりにくいなどの異常が生じたりします。

症状

末梢神経が障害されて運動神経に異常が生じると、手足の脱力や筋力の低下が生じます。その結果、腕が上がらない、物をつかみにくい、階段を上りにくいなどの症状が現れます。また、感覚を司る神経にも異常が生じ、しびれや震えが生じる、痛みを感じにくい、感覚が分かりにくいなどの症状が現れます。病状が進むと手足の筋肉が痩せるため(筋萎縮)、移動の際は必要に応じて杖や車いすを使用します。症状は左右対称に現れるケースが多いものの、左右で症状の度合いが異なることや体の一部にのみ症状が現れることもあります。

まれに脳神経に異常が生じることもあり、その場合はしゃべりにくい、表情筋の麻痺(まひ)などの症状が現れます。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すケースか、徐々に病状が進行するケースがあります。いずれの場合も長期的な治療が必要です。

検査・診断

慢性炎症性脱髄性多発神経炎が疑われる場合、末梢神経伝導検査や髄液検査などを行います。

末梢神経伝導検査は、皮膚の上から運動神経や感覚神経に電気刺激を与える検査で、末梢神経の電気信号の伝達速度に異常がないか確認できます。

髄液検査では腰に針を刺して髄液を採取します。慢性炎症性脱髄性多発神経炎患者は、髄液中の白血球数が正常でもタンパク質が正常よりも多くなっていることが多いため、それぞれの状態を確認します。

このほか、MRI検査で神経の炎症性変化を確認したり、末梢神経を生検して神経に異常がないか確認したりすることもあります。

治療

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の治療には、主に免疫グロブリン静注療法やステロイドを用いた薬物療法、血漿浄化療法が検討されます。

免疫グロブリン静注療法

血液中などに存在し免疫の役割を担う免疫グロブリンを投与する治療法で、一般的に第一選択の治療法とされます。入院して5日間連続で点滴する方法と、皮下注射する方法があります。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は寛解と再発を繰り返すことが多いですが、免疫グロブリン療法の新しい研究では再発率の低下などが示され、患者の負担軽減が期待されています。

ステロイド

過剰な免疫反応を抑えるためにステロイド薬を内服します。症状が重い場合は大量ステロイド点滴静注療法(ステロイドパルス療法)を検討されることがあります。

血漿浄化療法

免疫異常を起こした自己抗体などを血液中から除去し、血液体内に戻す治療法です。首や太ももの静脈にカテーテルを通すため、入院が必要となります。

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