インタビュー

認知症治療の原則

認知症治療の原則
橋本 律夫 先生

国際医療福祉大学 教授 、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

橋本 律夫 先生

この記事の最終更新は2016年05月01日です。

核家族化が進み、病気が見つかった時に望ましい環境で治療に当たることができない高齢者は増えています。国際医療福祉大学神経内科の橋本律夫先生に、認知症の望ましい治療形態についてお話をうかがいます。

ご家族が同居していて、たとえば「今までと違う」と感じることがあったら一度受診していただくとよいかもしれません。

それは、認知症の診断の基準として「以前のパフォーマンスレベルより落ちているかどうか」が重要だからです。たとえば、もともとパフォーマンスレベルが高い方の場合、認知症の症状があっても一般的な認知症診断のテストをクリアしてしまい、検査の結果が「異常なし」と出ることがあります。ですから、そのようなケースの場合「今までのご本人のレベルがどのくらいか」を知っているご家族の感覚は、診断に非常に役立ちます。

もし認知症と診断されたなら、ご本人だけでなくご家族や支えるサポーターの力が必要だと思います。

たとえば、認知症が進んだ場合「薬を飲まなければならない」ということは認識できても、何錠飲むか、いつ飲むかなどをうまく管理できません。一度飲んでも飲んだことを忘れてしまうこともありますし、薬を飲む必要があることすら忘れてしまうこともあります。そのため、認知症治療にはサポーターが必要なのですが、核家族化などの影響でひとり暮らしの高齢者が増え、お子さんが遠くに住んでいる場合など治療が非常に難渋することがあります。管理ができない、認識ができないという認知症特有の問題が治療をより難しくしてしまうのです。

認知症の薬物治療の効果を最大限に引き出すために重要なことは、可能な限りサポーターが一緒に受診することです。

たとえ受診できても、本当に薬の用法や容量を守って飲んでいるかご本人に聞いても正確でない可能性があるからです。薬を管理し、決まった量を飲ませ、効果が出ているかどうか症状を観察できるサポーターがいるような環境をいかにつくることができるかが、薬物治療を成功させる鍵になるでしょう。

認知症は可能な限り大勢でサポートすることが望ましい病気です。

認知症の患者さんは、自分が病気である、自分は薬を飲む必要がある、自分はサポートが必要であるという「メタ認知」ができないため、症状が進むと一人ですべてをサポートするには負担が大きすぎるからです。現代の日本は、核家族化やリタイア後に田舎に引っ越すライフスタイルの流行などで、コミュニティが築きにくい社会構造になっているかもしれません。しかし、「認知症のサポートはできるだけ大勢で」という考えが地域を問わず多くの方に受け入れられるようになるなら、おそらく認知症の治療は今よりももっと高い効果を発揮することができるようになるでしょう。

 

受診について相談する
  • 国際医療福祉大学 教授、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

    橋本 律夫 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

    実績のある医師

    周辺で認知症の実績がある医師

    国立精神・神経医療研究センター病院  第一精神診療部

    よこい ゆうま
    横井先生の医療記事

    2

    内科、外科、精神科、脳神経外科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、脳神経内科、児童精神科

    東京都小平市小川東町4丁目1-1

    西武多摩湖線「萩山」南口  病院シャトルバス運行 徒歩7分、JR武蔵野線「新小平」病院シャトルバス運行 徒歩10分

    医療法人社団京浜会 京浜病院 院長

    くまがい よりよし
    熊谷先生の医療記事

    2

    内科、外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、人工透析内科

    東京都大田区大森南1丁目14-13

    京急本線「梅屋敷」 徒歩13分、京急本線「平和島」京急バス 森ケ崎行き、羽田空港行き 北糀谷下車 バス5分、JR京浜東北線「大森」東口 京急バス 森ケ崎行き、羽田空港行き 北糀谷下車 バス15分

    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 精神科 医員、医療法人大坪会小石川東京病院 精神科 非常勤医師

    おおもり ゆうき

    心療内科、精神科

    東京都文京区大塚4丁目45-16

    東京メトロ丸ノ内線「新大塚」南改札2番出口  都営バス:大塚3丁目または大塚4丁目より徒歩3分 徒歩5分、東京メトロ有楽町線「護国寺」3番出口 徒歩8分

    東京都済生会中央病院 総合診療内科・脳神経内科

    あだち ともひで
    足立先生の医療記事

    1

    内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

    東京都港区三田1丁目4-17

    都営大江戸線「赤羽橋」赤羽橋口 徒歩3分、都営三田線「芝公園」A2出口 徒歩8分

    国立公務員共済組合連合会虎の門病院 顧問(前院長)

    おおうち やすよし
    大内先生の医療記事

    3

    内科、血液内科、リウマチ膠原病科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

    東京都港区虎ノ門2丁目2-2

    東京メトロ銀座線「虎ノ門」出口3 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「霞ケ関」丸ノ内線、千代田線も利用可 徒歩8分

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が28件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「認知症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    1問アンケート
    Q1.あなたまたはご家族が、将来認知症になることを不安に思いますか?
    すぐに取り組める認知症の対策予防など
    健康に役立つ情報をお届けします。
    確認用のメールをご確認ください
    上記アドレスに確認用のメールを送信しました。
    メールに記載されたURLから
    登録にお進みください。
    ご登録ありがとうございます
    認知症に関連する情報を
    優先的にお届けします

    メディカルノートをアプリで使おう

    iPhone版

    App Storeからダウンロード"
    Qr iphone

    Android版

    Google PLayで手に入れよう
    Qr android
    Img app