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インタビュー

認知症治療の原則

認知症治療の原則
橋本 律夫 先生

国際医療福祉大学 教授 、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

橋本 律夫 先生

核家族化が進み、病気が見つかった時に望ましい環境で治療に当たることができない高齢者は増えています。国際医療福祉大学神経内科の橋本律夫先生に、認知症の望ましい治療形態についてお話をうかがいます。

ご家族が同居していて、たとえば「今までと違う」と感じることがあったら一度受診していただくとよいかもしれません。

それは、認知症の診断の基準として「以前のパフォーマンスレベルより落ちているかどうか」が重要だからです。たとえば、もともとパフォーマンスレベルが高い方の場合、認知症の症状があっても一般的な認知症診断のテストをクリアしてしまい、検査の結果が「異常なし」と出ることがあります。ですから、そのようなケースの場合「今までのご本人のレベルがどのくらいか」を知っているご家族の感覚は、診断に非常に役立ちます。

もし認知症と診断されたなら、ご本人だけでなくご家族や支えるサポーターの力が必要だと思います。

たとえば、認知症が進んだ場合「薬を飲まなければならない」ということは認識できても、何錠飲むか、いつ飲むかなどをうまく管理できません。一度飲んでも飲んだことを忘れてしまうこともありますし、薬を飲む必要があることすら忘れてしまうこともあります。そのため、認知症治療にはサポーターが必要なのですが、核家族化などの影響でひとり暮らしの高齢者が増え、お子さんが遠くに住んでいる場合など治療が非常に難渋することがあります。管理ができない、認識ができないという認知症特有の問題が治療をより難しくしてしまうのです。

認知症の薬物治療の効果を最大限に引き出すために重要なことは、可能な限りサポーターが一緒に受診することです。

たとえ受診できても、本当に薬の用法や容量を守って飲んでいるかご本人に聞いても正確でない可能性があるからです。薬を管理し、決まった量を飲ませ、効果が出ているかどうか症状を観察できるサポーターがいるような環境をいかにつくることができるかが、薬物治療を成功させる鍵になるでしょう。

認知症は可能な限り大勢でサポートすることが望ましい病気です。

認知症の患者さんは、自分が病気である、自分は薬を飲む必要がある、自分はサポートが必要であるという「メタ認知」ができないため、症状が進むと一人ですべてをサポートするには負担が大きすぎるからです。現代の日本は、核家族化やリタイア後に田舎に引っ越すライフスタイルの流行などで、コミュニティが築きにくい社会構造になっているかもしれません。しかし、「認知症のサポートはできるだけ大勢で」という考えが地域を問わず多くの方に受け入れられるようになるなら、おそらく認知症の治療は今よりももっと高い効果を発揮することができるようになるでしょう。

 

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  • 国際医療福祉大学 教授 、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

    橋本 律夫 先生

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