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認知症に求められる介護 適切なサポートに向けた取り組みとは?
日本の高齢化に伴い、認知症患者さんの数はさらに増えていくことが予想されています。内閣府が発表している「平成29年度版高齢社会白書」のデータによると、2012年の認知症患者数は462万人でしたが、...
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認知症に求められる介護 適切なサポートに向けた取り組みとは?

公開日 2018 年 03 月 19 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

認知症に求められる介護 適切なサポートに向けた取り組みとは?
磯崎 哲男 先生

医療社団法人小磯診療所 理事長

磯崎 哲男 先生

日本の高齢化に伴い、認知症患者さんの数はさらに増えていくことが予想されています。内閣府が発表している「平成29年度版高齢社会白書」のデータによると、2012年の認知症患者数は462万人でしたが、患者数はこれから増大を続け、2025年には約700万人、つまり65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になることが見込まれています。

このように、認知症患者さんが増えていくなかで課題となるのが「認知症患者さんへの適切な対応・ケア」です。認知症患者さんのなかには認知能力の低下だけでなく、幻覚・妄想、徘徊(はいかい)、暴力・暴言といった行動や症状がある方もいることから「いかに認知症患者さんへ適切な対応ができるか」というところは、とても重要な観点です。

こうした現状を受け、近年、認知症患者さんにより適切なサポートをおこなうための体制づくりが、国を挙げて進められています。認知症患者さんに求められる対応や、それをサポートする取り組みについて医療法人社団 小磯診療所の磯崎哲男先生にお話を伺いました。

認知症患者さんを「自宅で介護する」ときの難点とは?

認知症とは、脳に障害がおきたことで認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになる疾患のことです。

ひとことに認知症といっても、その症状はさまざまです。

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  • 記憶力・認知能力の低下
  • 気分が変わりやすい(情緒易変性)
  • 怒りやすい(易刺激性)
  • 無表情になる
  • 社会的行動が粗雑になる

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※上記は認知症ガイドライン2010. ICD10分類による認知症診断基準の要約より

 

これらの症状すべてが、全員の認知症患者さんにみられるというわけではなく、症状は患者さんにより異なります。そして、認知症のタイプによってはこのような症状があらわれるケースもあります。

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  • 幻覚
  • 妄想
  • 徘徊(はいかい)
  • 昼夜逆転
  • 排泄(はいせつ)の失敗(失禁する、適切でない場所で排便してしまう など)

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認知障害や、記憶力の低下だけでなく、こうした症状があらわれる場合には、認知症の介護は非常に大変になります。幻覚や妄想で騒いでしまう、夜間に徘徊して外の危険な場所にひとりで向かってしまう、トイレに間に合わない、お風呂で排便してしまうなど、こうした症状や行動があらわれると介護するご家族の方々は大きな不安と負担を抱えることになります。

認知症に求められる対応力 ~「対応の仕方」で病気が変わる~

このように、認知症というのは日々の対応や介護がとても大変になるケースがあることから、介護者の方々が「疲れ切ってしまう」ことも多くあります。ご家族の方は日々の介護によってご家族の方が疲れ、十分な対応を行えない場合もあります。すると患者さんもさらに混乱し、行動や症状が深刻化し、さらに介護者の方の負担になるというような「悪循環」になってしまう可能性もあります。

しかし、認知症というのは「対応の仕方」で病気の症状が変わっていく疾患といわれ、薬剤を用いないでも症状の緩和が図れる疾患とも捉えられることがあります。患者さんの行動や訴えに対して、うまく誘導したり、話題を変えてあげたりすることで、患者さんのパニックをなるべく抑えていくことができる場合があります。こうした対応には専門職種の経験によるテクニックが必要なケースもありますが、ご家族の対応の仕方によって症状が緩和されることもあります。

しかし、ご家族の方だけでは対応が難しくなってきた場合には、周囲や専門職による支援が必要になることがあります。認知症は「患者さん周りの人が適切に対応することにより症状緩和ができる疾患のひとつ」といわれますので必要に応じて「患者さんと介護にあたられるご家族・介護職の方をサポートする仕組み」が求められます。

認知症患者さんを早期にサポートする「認知症初期集中支援チーム」

国によって進められる認知症患者さんのサポート体制

こうしたなか在宅での認知症患者さんを介護されているご家族の方の訴えなどに応じて、さまざまな医療に関する専門職があつまったチームが、自宅を訪問して患者さんの認知症の評価や、適切なサポートを行う取り組みが始められています。この取り組みをおこなうチームは「認知症初期集中支援チーム」とよばれています。認知症初期集中支援チームとは、国がこれからの高齢化に備え、認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けて定められた「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の、主な政策のひとつに挙げられている事業のひとつです。

この事業がはじめに取り上げられたのは平成25年度(2013年度)です。平成25年度ではモデル事業として、全国14市町村で「認知症初期集中支援チーム設置促進モデル事業」が実施されました。その成果を踏まえて、平成26年度(2014年度)の介護保険制度改正のときに地域支援事業の任意事業、平成27年度(2015年度)には同事業の包括的支援事業となり、さらに平成 30 年度(2018年度)からはすべての市区町村で実施することが予定されています。

※事業名は「認知症初期集中支援推進事業」

多職種で「在宅の認知症患者さん」を支える取り組み

実際に「認知症初期集中支援チーム」ではどのようなサポートがおこなわれるのでしょうか。

認知症初期集中支援チームは、認知症患者さんの現状評価をおこない、患者さんご本人の力を最大限につかって生活していくための早期診断・早期対応していくために必要な支援体制をつくっていくチームです。まずは認知症患者さんを介護されているご家族のもとにお伺いし、患者さんの健康状態・認知機能・行動・心理症状をしらべるとともに、ご家族の方の介護負担の状況や対応力、住まいの環境、周囲の方々との対人交流、経済状況や社会的困難状況などを確認していきます。こうして得た情報をもとに、医師、看護師、社会福祉士、保健師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士など多職種があつまって、どのような支援体制が患者さん、そしてご家族にとってよいものになるのかを相談します。その結果、たとえば医療機関への受診、ご家族の方への支援、身体的なケア、認知症の進行に伴って起きてくる介護者を困らせる症状(抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害による昼夜逆転、暴力・暴言など攻撃的行動、叫声、拒絶、徘徊、不潔行為、異食)などの予防、住まいの生活環境整備、社会交流の支援などをサポートしていきます。

こうしたチームでのサポートや支援は、患者さんや介護にあたるご家族の方がより適切な対応をおこなうことにつながります。その結果、認知症患者さんの意思が尊重され、可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けることのできる仕組みが整備されていくと考えられます。

「認知症に困ってから」ではない より早期に地域で支え合うシステム

これまで認知症の方へのケアは、その行動や心理症状などに危機がおとずれてからの対応に主眼がおかれていました。しかし、これからは、より早く認知症患者さんのケアをおこなう支援制度をつくることで、地域の認知症患者さんに早期に対応していくことが可能になると考えられます。

近年こうした取り組みが進められているということは、認知症に対する社会の関心が高まってきているということだと思います。このような取り組みによって、より患者さんやご家族の方々にとってよい認知症ケアが進められていくことが期待されます。
 

横浜市立大学医学部を卒業後、NTT東日本関東病院にて内科レジデントをはじめ消化器内科を中心とした内科医としてのスキルを磨いたのち、父で先代の磯崎興志氏の跡を引き継ぎ小磯診療所院長に就任する。

日本が抱える高齢化問題に早くから注目、在宅医療の必要性を発信するとともに、自らも在宅医療/訪問診療を実施。地域の患者が持つ医療ニーズにこたえるため日夜奔走する。

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