インタビュー

認知症の鑑別において見逃してはならない高齢発症のてんかん

認知症の鑑別において見逃してはならない高齢発症のてんかん
橋本 律夫 先生

国際医療福祉大学 教授 、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

橋本 律夫 先生

この記事の最終更新は2016年04月30日です。

認知症との鑑別が必要な疾患は、正常圧水頭症や高齢期のうつ病などさまざまあります。しかし、なかでも最も間違われやすく見逃してはならない病気としててんかんがあります。国際医療福祉大学神経内科の橋本律夫先生にお話をうかがいます。

てんかんは治療すれば良くなる病気なので、見逃さずに認知症との鑑別が正しく行われる必要があります。てんかんは専門家でなければ診断が難しく、認知症と非常に間違えやすい病気であるため、注意が必要なのです。

てんかんには、小児期と高齢期に発症しやすいという特徴があります。しかし、高齢者のてんかんは「複雑部分発作型」と呼ばれ、ぼーっとして寝ているのか起きているのか分からないという発作が主な症状であることが多くあります。そのような状態が1〜2分続いた後、通常の様子に戻ります。つまり、てんかんの発作として広く認識されているようなガタガタ震えるような痙れんを起こすことがない場合も多々あるために、非常に見逃されやすいのです。

そのため、小児期にてんかんを起こしたことがあるかどうかは関係なく、誰でも発症する可能性があります。

高齢期のてんかん発症の主な原因は脳血管障害ですが、明らかな脳血管障害の既往がなくとも起こります。脳は神経細胞の興奮と抑制でコントロールされている器官ですが、高齢になるとその抑制機能のほうが弱くなることがわかっています。脳血管障害が加わると、脳の抑制機能がさらに弱くなることで、てんかんが起こりやすい要因となります。

典型的な高齢期のてんかん(複雑部分発作)では、例えば食事中に起きた場合、普通にご飯を食べ続けることができます。また、料理中に起きた場合、包丁などを持っていてもそのまま食材を切り続けることもできます。そのため、発作かどうか非常に分かりづらいという特徴があります。ただし、その時ご本人に話しかけると反応がおかしかったり、目がうつろであったり「いつもと違う」という兆候は現れています。ですから、このような些細な発作を「てんかんかもしれない」と疑って検査をしない限り発見は難しいといえます。

なお、高齢期に発症するてんかんにはもの忘れ(記憶障害)を主な症状とするものもかなり存在します。上記の理由から、てんかんは、認知症との鑑別が非常に重要な病気として見逃してはならないのです。

受診について相談する
  • 国際医療福祉大学 教授、国際医療福祉大学病院 神経難病部長

    橋本 律夫 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が28件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「認知症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    認知症

    Icon unfold more
    オンライン医療相談
    認知症に関するお悩み
    医師に相談しませんか?
    確認用のメールをご確認ください
    上記アドレスに確認用のメールを送信しました。
    メールに記載されたURLから
    登録にお進みください。
    ご登録ありがとうございます
    医療相談が公開されましたら
    優先的にご案内いたします