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レビー小体型認知症の症状とは~特徴的な症状が現れる数年前から嗅覚症状や抑うつが現れることもある~

レビー小体型認知症の症状とは~特徴的な症状が現れる数年前から嗅覚症状や抑うつが現れることもある~
古川 勝敏 先生

東北医科薬科大学病院 総合診療科 科長、東北医科薬科大学病院 認知症疾患医療センター セン...

古川 勝敏 先生

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レビー小体型認知症とは認知機能が徐々に失われていく病気で、脳の神経細胞の中にレビー小体と呼ばれる病理変化が多くみられることが特徴です。また、一般的に60歳以上で発生するといわれています。認知症にはいくつかの種類があり、レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い認知症とされています。

本記事ではレビー小体型認知症の症状をテーマに、症状の経過や受診の目安について詳しく解説します。

そもそも認知症とは加齢などによって脳の神経細胞が変性し、判断力・理解力の低下、もの忘れなどが起こる病気で、レビー小体型認知症は認知症の一種です。レビー小体型認知症の主な症状は、記憶力・理解力の低下、意思疎通や行動の制御困難、幻覚や妄想などです。ただし、患者によって症状の現れ方は異なり、発病の何年も前から嗅覚障害や睡眠時の行動障害などが現れることもあります。

認知症にはいくつかの種類があり、なかでも代表的なものはレビー小体型認知症のほかにアルツハイマー型認知症脳血管性認知症があります。これらは三大認知症に数えられ、脳の変化によって分類されています。

レビー小体型認知症は脳の表面の大脳皮質などにレビー小体という病理所見が現れます。一方で、アルツハイマー型認知症は脳の海馬(かいば)という部分に萎縮が現れ、脳血管性認知症は脳血管障害に痕跡が現れることが特徴です。

前述の通り、レビー小体型認知症の症状はさまざまです。レビー小体型認知症では認知症の特徴的症状である認知機能が低下する症状のほか、レビー小体型認知症の診断や疑いの基準となる“中核的特徴”と呼ばれる症状、それ以外の“支持的特徴”と呼ばれる症状など多彩な症状があります。

中核的特徴には認知機能の変化や幻視、睡眠時の異常行動やパーキンソン症状などが挙げられるほか、支持的特徴には嗅覚症状や自律神経症状、抑うつなどが挙げられます。一般的には支持的特徴のほうが中核的特徴よりも先に現れ、病気の進行とともに中核的特徴が現れると考えられます。気になる症状がある、患者への接し方などで不安がある場合は躊躇せずに医師に相談するようにしましょう。以下では、レビー小体型認知症の主な症状を支持的特徴・中核的特徴に分けて解説します。

レビー小体型認知症においては幻覚、認知機能の変化などの中核的特徴が現れる数年前から、支持的特徴として嗅覚症状や抑うつなどの症状が現れることがあります。

支持的特徴には、嗅覚障害(においを感じづらい)、抑うつ(意欲がわかない、不安がある)、自律神経症状(倦怠感(けんたいかん)、寝汗、便秘、頻尿、立ちくらみなど)などがあります。これらの症状だけでレビー小体型認知症を疑うことは困難ですが、症状が現れた後に以下で述べるような中核的特徴が現れるとレビー小体型認知症が疑われます。

レビー小体型認知症の中核的特徴として睡眠中に大きな声で叫ぶ、暴れるなどの異常な行動がみられます。これは睡眠が浅い“レム睡眠”のときに起こるため、レム睡眠行動障害と呼ばれています。

レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症を発病する前から見られることがあるため、睡眠時の行動異常がレビー小体型認知症の発症を示す初期症状であると考えられています。この場合は急に起こしたりすると逆効果になることがあるため、危険でない場合は見守るようにしましょう。また、生活リズムを整えてあげて患者の睡眠の質を高めることも大切です。

レビー小体型認知症の中核的特徴として、数日から数週間周期、時には一時的に精神機能が変動することがあります。しっかりと意思疎通できていた人が、急にうとうとして注意力が低下したり、会話しなくなったり、ぼうっとしたりする症状が見られます。

また、初期は記憶力よりも注意力や覚醒度が低下しやすいとされています。もの忘れや記憶が曖昧になるなどの症状も注意力の低下が原因と考えられています。病気の進行とともにこれらの症状が強くなり、注意力の低い時間帯が長くなります。こういった症状が見られる場合は、日々の症状を記録しておくことで、時間ごとの変化のパターンや長期的な変化を把握することができます。

早い段階から幻覚が起こることもあります。レビー小体型認知症の幻覚は複雑で詳細であったり、恐ろしいものであったりします。さらに、複雑で奇妙な妄想を抱くこともあります。主に夜間に症状が現れることが一般的で、病気の進行とともに症状が顕著になります。

幻覚や妄想が起こった場合、周囲の人は否定せず、患者の話をゆっくり聞くとよいとされています。また、周囲が暗かったり不安を感じたりすると幻覚が起こりやすくなるため、明るさの調整が効果的な場合があります。

動きが鈍くなる、手足がこわばったり震えたりする、転びやすくなるなど、パーキンソン病の症状によく似た症状が現れることもあります。パーキンソン症状が出ると物が飲み込みにくくなり、誤嚥(ごえん)のリスクが高まるため、食事の際は注意が必要です。病気が進行すると歩行が困難になることもあり、後期には車椅子の利用が必要になる人もいます。

また、精神機能の異常とパーキンソン症状は、どちらかが発生してから1年以内にもう一方も発生するとされているため、できる限り早く受診するなど、適切な対処をすることが大切です。

レビー小体型認知症は、症状や患者の状態によって対応方法が異なるため、医師と連携して対応することが重要です。特に、初期に起こることがあるレム睡眠行動障害が見られる場合は早めの受診を検討するとよいでしょう。

初診の際は、脳神経内科を受診することがもっとも適切ですが、病院によっては“もの忘れ外来”や“高齢診療科”など、専門の診療科を設けているところもあります。また、受診の際は困っている症状を正しく伝えることが大切です。ささいな変化のなかに症状が隠れていることもあるので、できれば家族などの身近な人が付き添うとよいでしょう。

レビー小体型認知症の症状は、もの忘れや精神状態の変化だけでなく、その何年も前から嗅覚障害や自律神経症状、睡眠時の変化などが起こることがあります。レビー小体型認知症は中期以降に進行が早まることがあるともいわれているため、気になる症状が見られた場合は早めの受診を検討するとよいでしょう。

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