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熱中症疑いの水分補給にも役立つ経口補水液の作り方

熱中症疑いの水分補給にも役立つ経口補水液の作り方
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この記事の最終更新は2020年06月25日です。

経口補水液は、体内の水分を適切に補給するための飲み物です。熱中症になってしまったときや脱水症状を起こしたとき、下痢をしたときなどに役立ちます。

市販されている経口補水液もありますが、熱中症などによって急に脱水症になってしまったときには、すぐに入手することが難しい場合もあるでしょう。そこで、今回は経口補水液について説明するとともに、家庭にある調味料を用いた経口補水液の作り方をご紹介します。

経口補水液とは、水に食塩とブドウ糖を溶かした液体のことです。効率よく水分や塩分を摂取できるため、軽度から中程度の熱中症による脱水症をはじめ、嘔吐、発熱などによる脱水症状にも適しています。

ただし、食塩とブドウ糖さえ含まれていれば経口補水液と呼べるわけではなく、経口補水液の食塩とブドウ糖の含有量には基準があります。経口補水液という名称で販売するためには、消費者庁から特別用途食品の許可を得る必要があります。特別用途食品として許可されている商品は、“消費者庁許可区分”のマークが表示できるため、その有無を確認してから購入するのがよいでしょう。

一方、同様の成分のものを家庭にある食塩や砂糖を使用して作ることもできます。

スポーツドリンクも経口補水液と同じように塩分と糖分が含まれる飲料ですが、それらの濃度が異なります。スポーツドリンクは、経口補水液に比べて塩分濃度が低く、糖濃度が高く作られています。そのため、一般に経口補水液よりも飲みやすく、スポーツなどを行う際にエネルギー補給を兼ねた水分補給に使われることもあります。

ただし、夏場の水分補給としてスポーツドリンクを飲み過ぎると、糖分の取り過ぎになることがあるので気を付ける必要があります。

自宅でできる経口補水液の作り方をご紹介します。三つの材料だけで簡単に作れるので、分量さえ覚えておけば必要なときにすぐに用意できます。

【1Lの経口補水液を作る場合】

  • 水 1L
  • 砂糖 40g
  • 食塩 3g

これはあくまでも1Lで作る場合の分量です。全て半量にして500mlで作ることもできます。ただし、経口補水液を500ml作る際に500ml入りのペットボトルを使うと、砂糖と食塩が入りきらない恐れがあるため、大きめの容器で作りましょう。

このとき、レモン汁やグレープフルーツ果汁などを混ぜると、味の面で飲みやすくなります。

全ての材料を容器に入れていきます。ペットボトルを使う場合には、漏斗(ろうと)を使って砂糖と食塩がこぼれないように注意しながら材料を注ぎ入れましょう。溶け残りがないように、少なめの水で先に砂糖と食塩を溶かしてから水の量を増やしていってください。全ての材料を入れた後は、溶け残りがないように振って混ぜ合わせたら完成です。

ピッチャーを使って作る場合には、容器を振って混ぜることが難しいため、あらかじめ全ての材料を鍋やボウルなどに入れて混ぜ合わせてから容器に移し替えましょう。

経口補水液は、日常的な飲料として多量に飲むものではないとされています。では、経口補水液を飲むときはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。注意点をまとめました。

経口補水液には、まとまった量の塩分と糖分が含まれています。腎臓病や心臓病、糖尿病高血圧などの持病で食事制限を受けている人は、自己判断で飲用しないようにしてください。経口補水液を飲んでもよいかどうか、また、どのくらいまでなら飲んでもよいのかについては、それぞれ条件が違います。そのため、医師や薬剤師に相談のうえ飲用するようにしてください。

猛暑日にスポーツや外出をする際に、冷えた飲料を飲みたいと思い、凍らせれば長時間冷たい状態が保てるのではないかと考える方も多いでしょう。しかし、経口補水液は、ペットボトルごと凍らせての持ち歩きには適しません。凍らせた経口補水液は、均一には溶けないため、濃度が変化してしまうからです。適切な濃度を保つためには、全て溶け切ってから飲む必要があります。

外出時の飲み物と考えると、ある程度冷たさがあったほうがおいしく感じるかもしれませんが、必要なとき飲めるよう、むやみに凍らせないようにしてください。なお、凍った状態で摂取したい場合は、製氷皿などを使って一口大に凍らせ、一度に一粒食べるようにしてください。これなら、濃度に差は出ません。

経口補水液は熱中症予防や下痢・嘔吐など体調不良時の水分補給には効果的です。しかし、普段の水分補給に常飲するには塩分が多すぎます。元気な方が水分摂取のために経口補水液を大量に飲んでしまうと、塩分の取り過ぎになるリスクがありますから、むやみに飲まないようにしてください。

ペットボトルで市販されている経口補水液であれば、開封しない限り保存が利きます。一方、手作りの経口補水液は雑菌が繁殖しやすいため、保存には向きません。

経口補水液は、脱水症状予防や熱中症対策として活用するものです。毎日作って常飲するようなものではありませんから、必要に応じて作り、作った分は遅くともその日のうちに飲み切りましょう。

熱中症などで脱水症状が見られる場合には、水分・塩分・糖分を適切なバランスで取る必要があります。水分・塩分・糖分補給に役立つ経口補水液は、自宅にある材料でも簡単に作れます。熱中症だけでなく、下痢や嘔吐時の水分補給にも役立つため、経口補水液の作り方を覚えておくと万が一脱水症状が起こったときも安心でしょう。

併せて、脱水を予防するために、日頃からこまめな水分補給を心掛けることも大切です。

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