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腱板断裂のリハビリでは何をするの?〜リハビリの内容や、術後のリハビリスケジュールとは〜

腱板断裂のリハビリでは何をするの?〜リハビリの内容や、術後のリハビリスケジュールとは〜
三宅 孝宏 先生

おおさかグローバル整形外科病院 関節外科 部長

三宅 孝宏 先生

目次
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腱板断裂(けんばんだんれつ)とは、40歳以上の男性の右肩に好発する病気です。肩にある腱板という部分が断裂し、肩が動かしにくくなったり(運動障害)、肩周辺に痛みなどが現れます。

治療は大きく分けて保存療法と手術療法の2つの選択肢があり、手術前後や保存療法の中の運動療法においてリハビリテーション(以下リハビリ)が行われることがあります。では、具体的にどのようなリハビリが行われるのでしょうか。

保存療法とは、手術をして切り取ることはせず(保存して)回復を期待する治療法のことです。保存療法の目的は痛みの軽減と可動域の維持、改善であり、注射療法と運動療法が行われることが一般的です。

肩関節周囲炎を併発している場合は痛み(夜間痛)の緩和のために水溶性副腎皮質ホルモンや局所麻酔剤を注射し、改善された場合は関節の動きを滑らかにする目的でヒアルロン酸を注射します。また、腱板が全て断裂することはあまりないため、残った腱板の機能を活性化させるために、腱板機能訓練というリハビリを行います。

肩の動きの改善のためには関節の可動性(柔軟性)と関節を動かす力(筋力)の2つが必要となり、どちらか片方が欠けていても関節は動かせません。関節の可動性(柔軟性)に対するリハビリには、他動屈曲や他動外転、外ねじり運動、筋力に対するリハビリには、肩甲骨内転・外転、外ねじり運動などがあります。

他動屈曲

仰向けになった患者の腕を、医師などのほかの人が患者の頭の上までまっすぐに伸ばし、元に戻す動き(ばんざいのような動き)を繰り返します。なお、この動作は他者の力を借りずに患者自身で行ってもよいとされています。

他動外転

仰向けになった患者の腕を、ほかの人がベッド上で滑らせるように動かして、まっすぐ(水平)の位置まで持っていき、元に戻す動きを繰り返します。

外ねじり運動

棒などを持ったまま手を広げたり戻したりする動作を繰り返します。

肩甲骨内転・外転

肩甲骨をくっつけるように動かしたり、手を前に突き出して肩甲骨を外に出すように動かしたりします。

保存療法で痛みや運動障害が改善されない場合は、手術で断裂した腱板を縫合することがあります。術後は手術でできた傷や縫合した腱板部分が治癒しやすいよう、3週間程度は装具で固定して安静にしますが、手術翌日から肩の可動範囲を広げる目的でリハビリが行われることもあります。その場合は痛みを感じないように麻酔薬を使いながら肩を動かすこともあります。

腱板断裂の手術におけるリハビリは、手術前に肩の痛みや関節の動き、筋力などを評価するところから始まります。手術当日は安静にし、リハビリは翌日頃から基本的に保存療法と同様の内容で、リラクセーションや他者が介助して肩を動かすトレーニングを行います。リラクセーションとは、関節が動きやすくなるよう、関節を動かしたり圧迫したりすることを言います。

その後は徐々に筋力トレーニングも追加しますが、その際は縫合した腱板に負担がかからないように、実施するメニューに注意する必要があります。これらのリハビリを1~3週間程度行います。一般的にはこの間に退院できるため、以降は通院しながら合計で3~6か月間程度リハビリを続けます。

日常生活に関しては、車の運転は腕が自由に動かせるようになる術後1か月半~2か月後くらいから、仕事復帰は内容にもよりますが、軽作業なら術後2か月後くらいから可能となるでしょう。

腱板断裂においてリハビリは保存療法の1つとして、または術後に肩周辺の機能回復の目的で行われることが一般的です。しかし、間違ったやり方で行うとかえって症状が悪化してしまう場合があるため、リハビリは専門家の指導の下、適切な内容で行うようにしましょう。

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