概要
五十肩とは、肩関節の運動障害と痛みが現れることです。医学的には”肩関節周囲炎”と呼びます。
五十肩は、50歳代を中心とする40〜60歳代に多くみられ、特別な原因がなく発症するとされています。主な症状は片側の肩のみに痛みや運動障害がなどで、ときに日常生活に支障が生じるほどの強い痛みが現れることがあります。
多くの場合は運動療法や薬物療法などの保存療法によって改善することができます。自然に治ることもありますが、進行すると肩関節の動きが悪くなる肩関節拘縮や凍結肩といわれる状態になることがあります。
原因
五十肩の明らかな原因は分かっていませんが、加齢に伴い骨・軟骨・靱帯・腱など関節の組織に炎症が起こることによって生じると考えられています。そのほか、運動不足や寒さによって血液の循環が悪くなると、五十肩が発症しやすくなると考えられています。
症状
五十肩の症状は、五十肩の進行に応じて急性期、慢性期、回復期の症状に分かれます。
急性期の症状
五十肩が発症してから約2週間までを急性期といいます。急性期では、運動時だけでなく、安静時や夜間でも肩に痛みが現れます。このとき、肩の痛みを気にしてあまり動かさないようにすると、肩の動く範囲が徐々に狭くなる原因になります。
慢性期の症状
急性期を経て慢性期には、肩の痛みは徐々に軽減します。しかし、この時期はまだ肩の動く範囲が狭いままで、この状態は約6か月続くといいます。
回復期の症状
慢性期が約半年ほど経過すると、回復期に入ります。回復期に入ると、関節の痛みや動きが徐々に軽快していきます。
自然治癒の場合、この3つの段階を経て回復するまでには、通常約1年前後かかるといわれています。しかし、半数の患者は、痛みや可動範囲が制限されることが平均して7年も続くといった報告もあります。
検査・診断
五十肩の診断では、問診のほか、X線検査やMRI、超音波検査といった画像検査を実施します。これらの検査によって、ほかの病気の可能性がないことを確認したうえで最終的に診断します。
治療
五十肩の治療には、保存療法と手術があります。
保存療法は関節の痛みを和らげ、可動範囲を広げることを目的に行われます。薬物療法・運動療法・理学療法が一般的で、薬物療法では消炎鎮痛剤やテープ状の外用薬などが検討されることが一般的ですが、痛みが強い場合にはステロイド剤と局所麻酔剤を混ぜた薬、高分子ヒアルロン酸ナトリウムなどの注射が検討されることもあります。
また運動療法や理学療法では、痛みを和らげるための生活習慣を指導するほか、可動範囲を広げられるようリハビリテーションなどが検討されます。これらによって改善しない場合は、手術が検討されることもあります。
予防
肩の血液の循環をよくするために、肩を温め、適度に動かすことが大切です。具体的には、入浴時などに肩をしっかり温めることを心がけるほか、肩掛けを使うなどして日常的に肩を冷やさないよう工夫しましょう。
また、腕を振ってウォーキングをしたり、ストレッチを行ったりすることも効果的です。ただし、すでに痛みが強く生じている場合は無理に動かさず、病院の受診を検討しましょう。
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