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インタビュー

肩関節周囲炎(五十肩)の治療(2)―手術治療の方法・リハビリ・合併症

肩関節周囲炎(五十肩)の治療(2)―手術治療の方法・リハビリ・合併症
中川 泰彰 先生

国立病院機構京都医療センター 整形外科診療部長、 京都大学 臨床教授

中川 泰彰 先生

一般的に「五十肩」という名前で知られる、「肩関節周囲炎」という肩が痛くなる症状があります。この多くは自然に治ります。しかし、「たかが五十肩」と決めつけて診断を受けないのは危険です。なぜなら1週間以上の肩の痛みが続いている場合には腱板断裂など治療が必要な病気が隠れている可能性などもあり、一度整形外科でレントゲン検査などを受けて正確な診断をつけるべきだからです。

この記事では、肩関節周囲炎の手術治療について、関節外科医として多くの学会で評議員を務められていらっしゃる、国立病院機構京都医療センター整形外科診療部長・京都大学臨床教授の中川泰彰先生にお話をお聞きしました。

肩関節周囲炎はほとんどの患者さんが保存的治療で改善する病気ですが、手術に至るときは、どのようなときなのでしょうか。
肩の動きが悪いときも最高3ヶ月まではリハビリをします。90度を超える可動域が得られる場合には積極的にリハビリをすれば手術をせずとも良くなります。しかし、それでも改善しなかった場合には手術を行います。手術適応の基準として具体的な数値は、前方挙上(前に腕を上げる)や外転(腕を外にまわす)が90度以下の状況が3ヶ月続くときです(ただし、あまりに痛みがひどいときや肩関節周囲炎が重症化(凍結肩)したときには2ヶ月の段階でも手術をすることがあります)。

手術による治療では、小さく固くなりすぎていることがある、肩関節の「関節包」という袋の部分を少しずつはがしていきます。手術をすると痛みがとても軽くなり(またはなくなり)、肩関節の動きが良くなります。日常生活における動作も楽になっていきます。しかし、後述するように手術後のリハビリがとても重要かつ大変です。手術後にきちんとリハビリをしないと手術前よりも症状が悪化する場合があります。

手術は一般的に、関節鏡下授動術と麻酔科徒手的授動術の2つが行われます。後述するようにこの手術では合併症として骨折脱臼が起こる可能性があるため、経験豊富な整形外科医が慎重に行っていきます。

関節鏡というスコープとそのほかの器具で直径4mmほどの小さい穴を皮膚にあけ、そこから関節内にスコープを入れていきます。これらの器具を関節包(関節を包む袋)に入れることにより、関節包の中を見ながらくっついてしまった部分を切り離していき、小さくなってしまった関節包を少しずつ広げていくことができます。

関節鏡を用いながら関節包を少しずつはがした後には、医師が直接、肩関節に外から力を加えて少しずつ肩を動かしていきます。この手術をすることにより、硬くなってしまった関節包が伸びていき、肩関節が動くようになっていきます。ただし、この過程で骨折や脱臼が起きる可能性があるため、慎重に関節を動かしていく精密な作業が求められます。

これらの手術後には狭くなっていた関節包が大きくなり、動かなかった肩関節がきちんと動くようになります。

手術をすると、きちんとした関節の動きが得られます。それが再び元に戻らないようにするためには、何よりもリハビリテーションが重要です。患者さんは1ヶ月間必死でリハビリテーションをしなくてはいけません。リハビリテーションをきちんとしないと、手術前よりも悪化してしまうことがあります。
そのため、手術後の1ヶ月、「仕事が忙しくてリハビリテーションができない」という方の場合には手術療法が選択されません。京都医療センターでは手術後1ヶ月間、入院加療により徹底的にリハビリテーション治療を行っていきます。

手術後の合併症としては、主に以下の3点が挙げられます。

  • 術後感染

手術後に傷が感染することがあります。特に糖尿病の方は感染リスクが高くなります。

肩関節を動かすときに上腕骨骨折や、肩関節脱臼を起こすことがあります。

  • 手術後さらに病状が悪化する可能性

手術後のリハビリテーションが不十分であると、手術前よりも病状が悪化することがあります。ですから手術を受けた患者さんには覚悟を決めてリハビリテーションを頑張ってもらわなければなりません。手術後のリハビリテーション次第で、合併症のリスクも減らしていけます。

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  • 国立病院機構京都医療センター 整形外科診療部長、 京都大学 臨床教授

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