編集部記事

肩腱板断裂の手術が行われるのはどんなとき?~手術の種類や特徴、注意点とは~

肩腱板断裂の手術が行われるのはどんなとき?~手術の種類や特徴、注意点とは~
三宅 孝宏 先生

おおさかグローバル整形外科病院 関節外科 部長

三宅 孝宏 先生

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肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)とは、肩のあたりにある腱板という筋が老化や使いすぎなどによって断裂し、肩が動かしづらい(運動障害)、動かすと痛む、夜間など安静時にも痛むといった症状が現れる病気です。

治療の選択肢には保存療法と手術療法の2つがあります。断裂してしまった腱板*が元に戻ることはありませんが、基本的には保存療法によって症状が改善するとされています。では、手術が選択されるのはどういう場合なのでしょうか。

*腱板……腕を上げる、腕を回すといった動作をする際に使われる筋のこと

肩腱板断裂と診断されて手術が選択されるケースは、保存療法を行っても肩関節の痛みや運動障害が改善されない場合や、痛みなどによって日常生活に支障が出るような場合です。

ただし、安静や運動療法といった保存療法によって7割程度は症状が改善するとされています。保存療法では、外傷が原因の場合は1~2週間三角巾で固定して安静にしますが、基本的には注射療法と運動療法がメインとなります。

肩関節周囲に炎症があり、夜間痛がある場合は症状改善のために肩に水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤を注射し、夜間痛が改善されたら関節の動きを滑らかにするためにヒアルロン酸を注射します。また、運動療法では腱板機能訓練を行い、断裂することなく残っている腱板の機能を活性化させます。

手術には関節鏡視下手術と直視下手術(通常手術)の2種類があり、腱板の断裂部の修復を行います。一般的には関節鏡視下手術が行われますが、肩腱板の断裂が大きい場合は縫合が難しくなるため直視下手術が選択されることもあります。

関節鏡視下手術は、関節鏡(カメラ)を用いて行われる手術で、傷も小さく済み、体への負担を軽減できます。また、術後の痛みも少ないといわれています。軽症の場合はデブリドマン(創面清掃)のみを行うこともあります。デブリドマンとは、炎症している滑膜(骨の周りにある膜)の切除や、関節内の骨の棘の除去によって痛みの緩和を目指す手術方法です。

しかし、腱板がある程度損傷している場合は鏡視下腱板修復術によって腱板の修復を行います。鏡視下腱板修復術では、肩の周り複数箇所に1cm程度メスを入れ、そこから関節鏡や細長い手術器具を腱板断裂部に挿入し、断裂した腱板を骨に縫い付けます。また、関節鏡視下手術の場合は通常の手術よりも術後の腫れが抑えられ、リハビリがスムーズに開始できるというメリットがありますが、断裂部分が大きかったり、腱板の欠損が広範囲にわたったりする場合は、太ももの筋膜や肩周辺の筋肉を移行して断裂した部分を覆うなど、手術の規模が大きくなることもあります。

直視下手術は断裂部位を直接見ながら行う手術です。関節鏡視下手術と比べて皮膚を大きく切る必要があるほか、損傷がない筋肉をある程度切除して手術が行われます。そのため、体への負担が比較的大きいので、一般的には関節鏡視下手術が検討されます。

なお、関節鏡視下手術でも通常の直視下手術でも、術後は再断裂防止のために4週間程度三角巾や装具で腕をつって固定するほか、肩の機能回復のために2~3か月のリハビリテーションが行われます。

肩腱板断裂の手術に限らず、どのような手術でも合併症は起こり得るため、できるだけ合併症が起こらないように注意して手術が行われます。リスクのある合併症と予防法は以下のとおりです。

感染症

手術後に感染が生じることがあるため、手術前後には抗菌薬の投与が行われ、術後1週間程度は汗をかいたり体力が失われたりしないように、安静にする必要があります。

神経損傷

手術中に神経が引っ張られることで、一時的に筋力低下やしびれが現れることがあります。通常は一時的なものですが、慎重に経過観察を行うことが重要です。

術後出血

手術中の出血で患部が腫れ、痛みを感じることがあります。この場合は安静にする期間をより長くとることが必要です。

静脈血栓症

肩の周りを通る大きな静脈がつまることで、腕から手にかけて腫れや痛みが生じることがあります。ただし、静脈血栓症は比較的まれです。

腱板断裂の治療の選択肢は保存療法と手術であり、必ずしも手術を行わなければならないわけではありません。しかし、断裂した腱板は自然治癒が望めないため、保存療法を行っても症状が改善されない場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたしている場合などは手術が選択されることがあります。

また、腱板断裂を放置すると悪化する可能性があるため、早めに整形外科などの受診を検討するとよいでしょう。すでに診断を受けており手術を検討している人は、医師と十分にコミュニケーションをとり、納得したうえで治療を受けましょう。

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