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家族の健康を守るためにできること――感染症対策としておすすめの栄養の取り方

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家族の健康を守るためにできること――感染症対策としておすすめの栄養の取り方
松本 恵 先生

日本大学文理学部体育学科 教授

松本 恵 先生

目次
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今年も新型コロナウイルスの流行が継続しており、感染対策はもちろん、健康管理に気が抜けない毎日を過ごしていらっしゃることでしょう。マスクを手離せない生活がまだしばらくは続きそうですが、細菌やウイルスなどさまざまな感染リスクに備えるうえでは、免疫力の強化がポイントとなります。

今回は、乳酸菌やたんぱく質の持つ免疫力向上機能と効果的な摂取方法について解説します。

免疫力とは病気から体を守る抵抗力のことで、そのはたらきによって粘膜免疫(局所免疫)と、全身免疫の2種類に大きく分けられます。

  • 粘膜免疫……粘膜で細菌やウイルスの侵入をブロックするバリア機能
  • 全身免疫……体内に侵入した細菌やウイルスを発熱や下痢などで抵抗・排除する機能

かぜ(上気道感染症)やインフルエンザの場合、第一段階である粘膜免疫の防御を突破して、細菌やウイルスが体内侵入すると、次に全身免疫が作用し発熱や下痢などで異物を攻撃、排除するため、体調を崩すこととなります。感染による重症化を防ぐためには、粘膜免疫の機能を高め、細菌やウイルスを体に入れない対策を行っていくことが大切です。

この粘膜免疫において重要な役割を担うのが、唾液や鼻汁、消化管の粘液などの分泌液の中に存在するIgAという免疫物質です。IgAには、細菌やウイルスが粘膜から体内へと侵入するのを阻止することに加え、毒素の中和作用もあります。これらのことから、感染対策の1つとしてIgAのはたらきが着目されています。

善玉菌の1つである乳酸菌は、生きている菌(生菌)と死んでいる菌(死菌)に分けられます。生菌は、生きたまま腸に届くと増殖したり短鎖脂肪酸を分泌したりするなど腸内環境を整えるはたらきがありますが、胃酸や胆汁などによって菌が死んだ(死菌)状態でも、腸内でさまざまなはたらきをすることが確認されています。乳酸菌は生菌・死菌ともに、腸内環境の改善に役立つだけでなく、免疫機能の活性に深く関わっています。 

免疫機能を高めるためには、粘膜免疫の主体であるIgAの分泌を促す必要があります。その1つとして、IgAの分泌を促進する効果のある乳酸菌が注目されています。乳酸菌には多くの種類がありますが、なかでも植物由来の乳酸菌であるLactobacillus pentosus ONRICb0240(乳酸菌B240)を継続的に摂取すると、唾液中のIgAを高め、かぜにかかるリスクを減らすという報告がされています。

たんぱく質は、筋肉や骨、臓器など体の主要な組織を構成する重要な栄養素であり、エネルギーの元になります。さらに、免疫細胞の主成分はたんぱく質であるため、たんぱく質を摂取することで免疫細胞の活性化にもつながります。

たんぱく質が不足すると、成長障害や体力・免疫力の低下が起こるなど、健康上のリスクが高まる可能性があります。たとえば、たんぱく質が足りないことによって筋量が低下すると体温が低下し、免疫細胞の活動性も下がってしまいます。その結果、免疫力が低下してしまうのです。このような状態を防ぐためにも、たんぱく質をきちんと摂取することが重要になるでしょう。

いつ取るのがいいの?

乳酸菌は1日のうちにいつ摂取してもよいとされているため、ライフスタイルに合わせて取り入れることをおすすめします。ただし、できるだけ毎日継続して摂取することが大切です。

手軽に乳酸菌を取る方法は?

生菌・死菌、どちらを取っていただいても免疫力を強化する効果が期待できます。生菌は、ヨーグルトなどの乳製品に含まれていることが多いです。乳製品は、常温で持ち運ぶことが難しいため、より手軽に乳酸菌を摂取するためには、常温で持ち運びやすい死菌が含まれる栄養補助食品や飲料がおすすめです。

IgA抗体の分泌を増やす乳酸菌B240を用いた試験では、継続摂取によってかぜの罹患率低下が確認されていますので、体調を維持し毎日を健康に過ごすためにも、感染症の流行前からの摂取を心がけてください。

いつ取るのがいいの?

たんぱく質は消化吸収に時間がかかり、一度にたくさん消化できません。毎食ごとにバランスよく取り入れましょう。

手軽にたんぱく質を取る方法は?

たんぱく質は、魚介類や肉類、卵、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、豆類、野菜など、さまざまな食品に含まれています。単品の食品からではなく、さまざまな食品からバランスよく摂取することが大切であるといわれていますが、毎日の食事を全てバランスよく取ることが難しいケースもあるでしょう。手軽にたんぱく質を摂取することができる栄養補助食品や飲料なども登場しているため、ライフスタイルに合わせてこれらを取り入れることもおすすめです。

成長期の子どもにとって、バランスよく栄養を取ることは非常に重要です。ダイエットなどを意識して偏った食事をしたり、食事の代わりにお菓子だけでお腹を満たしてしまったりするケースもあるかもしれません。しかし、育ち盛りのときにしっかりと栄養を摂取していないと、たとえば、エネルギーやたんぱく質が十分に取れていないために筋肉や骨が十分に発達せず成長障害が起こったり、体力や免疫機能の低下によって病気になりやすくなったりする可能性があります。

また、負荷の大きな運動をしていると唾液中のIgAが低下してしまうため、かぜにかかるリスクが高いとされています。部活動などで負荷の大きなスポーツを日頃から行っているお子さんは特に注意が必要です。

できるだけバランスのよい食事をするよう気をつけたいですが、全ての栄養を食事から摂取することが難しい場合もあるでしょう。その場合には、おやつを補食として、栄養補助食品に置き換えることをおすすめします。栄養補助食品の中には、お子さんでも食べやすい味になっているものもあります。食事と食事の間にお腹がすいてしまったとき、お菓子の代わりとして食べることで栄養の摂取にもつながるでしょう。

働き盛りの年代では、仕事や家事などを理由に食事がおろそかになることがあるかもしれません。できる範囲でバランスのよい食事を意識することは大切ですが、特に時間がない日には、栄養補助食品から手軽に栄養を取り入れる方法があります。普段飲んでいるお茶やコーヒーを乳酸菌飲料に置き換えることもおすすめです。

高齢になると食が細くなり、十分な量の食事を取ることができない方もいらっしゃるでしょう。しかし、高齢の方の栄養状態が悪化すると体力や免疫機能が低下し、病気になりやすくなったり、介護が必要な状態になったりする可能性があります。

高齢の方が摂取すべきエネルギーと栄養素の量の基準は示されていますが、全ての栄養を食事から取ることが難しい場合には、飲料や栄養補助食品を取り入れることもおすすめです。特に、栄養補助食品には、さまざまなタイプがあり、高齢の方でも摂取しやすいものも登場しています。栄養補助食品を活用しながら必要な栄養を取り、健康状態を維持するようにしてください。

昨年から新型コロナウイルス感染症が流行しています。新型コロナウイルスの流行に限らずさまざまなウイルスや細菌から自身の健康を守るためには、生活習慣や食事の改善が欠かせません。特に免疫力と深く関わっている乳酸菌やたんぱく質は、普段から積極的に摂取したいものです。栄養補助食品を利用する場合においては、飲料・ゼリー食品・サプリメントなどの中から自分に合ったものを選んで、体調管理に役立ててください。

    本ページに掲載された記事は広報目的で作成されたものであり、その内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが正確性を保証するものではありません。

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