びまんせいじくさくそんしょう

びまん性軸索損傷

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury : DAI)とは、主に転倒や交通事故の際、回転加速度がかかった外力によって神経線維(しんけいせんい)の断裂が起こることです。CT検査では、明らかな局所性脳損傷がみられないにもかかわらず、重度の意識障害を示します。

びまん性軸索損傷は、重症頭部外傷の多くを占めるとされており、高次機能障害や認知障害などの後遺症が現れることが知られています。

原因

頭部に回転性の外力が加わると、剪断力(せんだんりょく)により軸索の過伸展が起こり、軸索が広範囲で断裂することにより脳白質の損傷が生じます。

また、一次的脳損傷後にも損傷が進展し、受傷後に軸索流のうっ滞から軸索の切断がおこり、2次的脳損傷をきたすことがあることも知られています。脳細胞が壊死することにより、脳がむくむと頭蓋内圧が上昇することにより致死的な状況になることがあります。

症状

頭部外傷が軽微で頭蓋骨骨折(ずがいこつこっせつ)頭蓋内血腫(とうがいないけっしゅ)がみられないにもかかわらず、長期の意識障害がある場合、びまん性軸索損傷が疑われます。

受傷直後より重篤な意識障害、異常肢位(いじょうしい)を示すことが多いです。また、後遺症として記憶障害や麻痺などがおこることがあります。

検査・診断

CTでは明らかな局所性脳損傷が確認できない場合でも、MRIで微小な出血や浮腫(ふしゅ)をびまん性に認めることがあります。軽症の脳震盪でも一時的な意識障害をきたすことがあるため受傷後早期にびまん性軸索損傷を診断することは難しいことがあります。

CTで白質や脳梁部(のうりょうぶ)、中脳の微小出血はびまん性軸索損傷の存在を推測させる所見のひとつです。また、MRIはCTと比べて微小出血の診断に優れています。近年、さまざまなMRIでの撮影方法で、病変の診断や重症度、転帰を反映することも可能になったというケースもあります。

治療

びまん性軸索損傷自体には有効な治療法は確立しておらず、対症療法が治療の中心となります。したがって、ICPモニター挿入下での脳圧管理や二次的脳損傷の回避が重要となります。脳圧管理の一環として、減圧開頭術が行われることがありますが、その有効性に関してはいまだ議論が続いています。また、頭蓋内血腫を伴っている場合は開頭血腫除去術が必要な場合もあります。

一般的には、意識消失時間が長い重症のびまん性軸索損傷であるほど、転帰(経過や結果)不良とされており、特に脳幹障害が認められると死亡率は高く、救命できた場合でも意識障害や高次機能障害などの後遺症が残ることが多いです。

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