「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。
さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に伺います。今回は「みずいぼ(性器伝染性軟属腫)」についてのお話です。
伝染性軟属腫とは俗に「ミズイボ」と呼ばれています。原因はボックスウイルスでの一種である伝染性軟属種ウイルスであり、多くは幼児から小学生低学年くらいによくみられる病気です。しかし、大人の場合は性行為を通じて外陰部や外陰部周辺によくできます。
性器伝染性軟属腫の好発(よく起こる)年齢は20歳から29歳です。性行為でうつることが多いですが、タオルやバススポンジなどを通して間接的に感染することもあります。これは子供から移ることもあります。実際に日本での性器伝染性軟属腫について検索したところ、成人の伝染性軟属腫自体が非常に稀で、むしろ子供からの感染が多いです。感染は基本的に経皮感染であり、主に接触などのスキンシップでうつります。患部をかいたりしてしまうとウイルスが周りに拡がってしまい増殖してしまうこともあります。潜伏期間は2週間から6ヶ月ほどで、長くても半年くらいまでではないかといわれています。
外陰部、恥丘部、肛門周囲、大腿内側などに腫瘍ができます。腫瘍の大きさは粟粒大から大豆大(およそ2~3mm)で、よく見ると腫瘍の中心がへこんでいます。このくぼみを専門用語で臍窩(さいか)と言います。腫瘍の形状はドーム状で、表面は滑らかです。色は灰白色で蝋様の光沢があります。専用のピンセットでつまむと乳白色の粥状の内容物が出ます。
性器伝染性軟属腫
イボの中心部分である臍窩をピンセットでつまむと、中から乳白色の粥状の内容物が出てきます。この内容物を調べて伝染性軟属腫と判断します。
治療としては、専用のピンセットで一つずつイボを摘んで取る方法を行います。イボが大きい場合はレーザーで蒸散もしくは液体窒素で凍結療法などを行います。また、このイボは乾燥肌の人によくみられ、白色ワセリンなどの保湿剤の塗布で治癒することもあります。入浴後は保湿剤でのスキンケアーが大事です。
予防として、感染者とのスキンシップはやめ、患者の使用したタオルを使用せず、また患者の衣類などは熱湯消毒をしましょう。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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