実施内容
アドバンス・ケア・プランニングでは、将来受ける医療やケアについて本人を中心に家族、医療従事者などが集まって繰り返し話し合い、本人の意思を共有します。意思決定にあたって、医療従事者から専門的な情報提供や説明が行われ、それらをもとに本人をはじめさまざまな人がさまざまな視点から意見を述べて話し合いが進められて行くことが特徴です。
また、本人の意思は時間の経過とともに変化することもあるため、話し合いは繰り返し行い、その都度記録を残しておくことが重要とされています。
事前指示書とは――アドバンス・ケア・プランニングとの違い
アドバンス・ケア・プランニングが推し進められる以前から、“事前指示書”と呼ばれる文書による患者の意思表示が行われてきました。
事前指示書とは、将来病気やけがなどで自分が意思決定できない状態に陥った場合に判断を誰に委ねるかについて、受けたい医療・ケア、受けたくない医療・ケアの希望などについて文書化した書類です。全国的に統一された書式はありませんが、自身が判断能力を失ったときにその判断を委ねる“代理人指示”と具体的な医療・ケアに対する希望である“内容的指示(リビングウィル)”を記載する必要があります。
アドバンス・ケア・プランニングと事前指示書の大きな違いは、意思決定の際に家族や医療従事者との話し合いを行うかどうかです。
事前指示書では事前に話し合いを行う必要性はないため、家族との話し合いが不十分であれば、事前指示書に記載された内容と家族の意見が大きく異なることもあります。この場合、基本的には事前指示書に記載されている内容が優先されます。
また、医療従事者との話し合いが不十分であれば、事前指示書の内容が医療・ケアの観点からは実質不可能であり、いざというときに実施されない場合もあります。
この点、アドバンス・ケア・プランニングは家族・医療従事者との話し合いをもとに本人の意思決定が行われるため、患者の希望が家族にも受け入れられやすく、医療・ケアの観点からも実施されやすくなることが期待されます。アドバンス・ケア・プランニングは本人を中心として関係者と丁寧に進められた合意形成といえます。
アドバンス・ケア・プランニングの第一歩
「自分がどのような最期を迎えたいか」を考えるようになったら、家族や医療従事者と相談する前に、まずは自分の考えや希望を整理してみましょう。
厚生労働省や都道府県の医師会などでは、アドバンス・ケア・プランニングを検討する方向けに考えを整理するツールを用意していることもあります。このようなツールを活用して、自分自身の考えを整理してから家族や医療従事者に相談してみるとよいでしょう。
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