原因
カラアザールは、リーシュマニアと呼ばれるトリパノソーム科の原虫(寄生虫)に感染することで発症するリーシュマニア症という病気のひとつです。
リーシュマニア症は、内臓リーシュマニア症(カラアザールと呼ばれる:黒熱病ともいう)、皮膚リーシュマニア症(東洋瘤腫ともいう)、粘膜皮膚リーシュマニア症に分類されます。カラアザールは、リーシュマニア原虫のなかでもL(Leishmania). donovani、L. infantumという種の原虫によって、また皮膚リーシュマニア症はL. major、L. tropica、L. mexicanaなどの土着の原虫種によって起こりやすいです。リーシュマニアはサシチョウバエの体内に潜んでおり、メスのサシチョウバエに刺されることで感染します。
リーシュマニアに感染しても、多くの方は症状なく経過します。リーシュマニアで生じる健康被害が皮膚や粘膜に限局するタイプのものもありますが、カラアザールは肝臓や脾臓などの内臓臓器にも病状が進展するタイプの病気です。体内に入り込んだリーシュマニアは、特にマクロファージと呼ばれる細胞によって取り込まれます。マクロファージは病原体を殺菌する役割を持っている免疫細胞のひとつですが、リーシュマニアはマクロファージのなかでも増殖することが可能であり、カラアザールに関連したさまざまな症状が引き起こされます。
感染により血液中にリーシュマニアが含まれる可能性があるため、注射針の使い回しや輸血、母子感染などでも感染が拡大することがあります。また、カラアザールが治癒した後に、「カラアザール後皮膚リーシュマニア(PKDL)」と呼ばれる皮膚症状が出現することがあります。カラアザール後皮膚リーシュマニアの発症は、体内にリーシュマニアが依然として潜むことを示唆します。そのため、この疾患を呈する方が基点となり、サシチョウバエを介して周囲の人へと感染が拡大することもあります。
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