概要
モーレン潰瘍とは角膜に生じる潰瘍の一種です。角膜の周りを、まるで蚕が桑の葉を食べるように進行性に広がっていく様から、蚕食性角膜潰瘍ともいわれています。
原因
モーレン潰瘍のはっきりとした原因は不明ですが、現在有力な原因説は自己免疫性反応によるものです。
体が手術や外傷などによってダメージを受けたとき、抗体が角膜内に存在する未使用の抗原を敵と誤認して、攻撃してしまうことがあります。モーレン潰瘍の発症要因はこうしたメカニズムによるのではないかと考えられています。また寄生虫保有者はモーレン潰瘍を発症する場合が多いこともわかっています。
症状
充血や目の痛みなどが主症状で、目の痛みは夜も眠れないほどひどい場合もあります。
発症初期には角膜周辺にぽつんと存在するだけの潰瘍は、進行するにしたがって横へ横へと広がり、結膜や強膜にまで炎症が及ぶこともあります。角膜は薄く、不透明になり、さらに進行すると角膜穿孔が起こり失明する恐れもあります。
検査・診断
細隙灯顕微鏡で病変部の広がりを詳しく検査し、診断を行います。また、モーレン潰瘍と症状が似ている疾患「周辺部角膜潰瘍」の可能性を否定するために、血液検査も必要です。
また、感染による潰瘍との鑑別診断目的で、細菌培養の検査を行うこともあります。
治療
手術(角膜上皮形成術)およびステロイド、シクロスポリンなどの免疫抑制剤による薬物療法が適応となります。
かつては不治の病と呼ばれていましたが、現在では、重症の患者さんでも寛解状態(完治してはいないが、症状があらわれず通常通り日常生活を送れている状態)にまで回復する見込みがあります。
モーレン潰瘍は基本的に一生治療が必要な疾患ですが、寛解後は投薬量を漸減していき、点眼薬での治療にすることもあります。
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