原因
2011年、Clayton-Smithらによる患者検体を用いた詳細な遺伝子解析により、ヤング・シンプソン症候群はKAT6B遺伝子の異常により引き起こされることが明らかとなりました。KAT6B遺伝子は、ヒトのDNAに深い関わりを持つ「ヒストンアセチル化酵素」を生成します。この酵素はさらに、さまざまな遺伝子の発現の制御に関わっています。しかし、KAT6B遺伝子により生成されるヒストンアセチル化酵素の詳細な機能については、いまだに不明な点も多く、骨格や神経系などを含む初期発生に重要な遺伝子の制御に関わっていると考えられています。KAT6B遺伝子が原因遺伝子として特定されたものの、どのようにして多様な臓器に異常を引き起こすのか、その詳細なメカニズムは現在のところわかっておらず、今後のさらなる研究が求められるところです(2019年時点)。常染色体優性遺伝形式をとる遺伝病ではありますが、一部の兄弟例を除いて家族例の報告はほとんどありません。大部分がKAT6B遺伝子における突然変異により引き起こされる孤発例です。
医師の方へ
「ヤング・シンプソン症候群」を登録すると、新着の情報をお知らせします