治療
卵巣過剰刺激症候群は原因となっている薬剤を中止することで改善することがほとんどです。2022年4月からの生殖補助医療の保険適用に伴い、卵巣過剰刺激症候群の治療としてカベルゴリンの内服が保険適用となりました。カベルゴリンはドーパミン受容体刺激薬で、血管透過性を亢進させる血管新生因子であるVEGFを抑制します。また、保険適応外ですが、レトロゾールはエストロゲンを低下させる作用があり、卵巣過剰刺激症候群の治療に用いられることがあります。
軽度の卵巣の腫れは臨床的に問題ではないことも多いですが、血管内の脱水や尿量の減少がみられる場合には輸液によって脱水状態を改善する治療が必要になります。
大量の腹水と強度の血管内脱水がみられる場合は、腹水によるタンパク質の減少を改善しながら腹水を除去する腹水再還流法と呼ばれる治療が行われます。
重篤な合併症である血栓症を予防するために薬物などによる抗凝固療法が行われることがあります。
もともと血栓症リスクが高い方などは、卵巣過剰刺激症候群が回復してしばらくたってから血栓症を発症することがあるため、退院後も輸液やタンパク製剤などによる予防管理が必要になることがあります。
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