種類
回旋異常には、回旋の段階に応じてさまざまな種類があります。
胎勢の異常(前頭位、額位、顔位)
通常の分娩であれば、母体の骨盤入口部には胎児の後頭部が最初に入りますが、胎児が顎を引いていないために前頭部(大泉門)や額などが先に入った状態で分娩が進む場合があります。このような状態を胎勢異常といいます。先進部*が前頭部(大泉門)の場合を前頭位、額の場合を額位、顔の場合を顔位といいます。
*胎児の体の中で最初に産道を通る部分。通常は後頭部が通る。
顔の向きの異常(後方後頭位)
分娩直前の胎児の顔の向き(胎向)が通常と異なり、胎児の顔が母体の腹部側を向くように回旋して下降し、出生することを後方後頭位といいます。娩出時まで後方後頭位である確率は頭位分娩の1%以下で、分娩進行が長引くことが多くあります。産道に対して胎児の頭が相対的に小さい場合に起こりやすいといわれています。
児頭の骨盤への進入の異常
児頭の骨盤への進入の異常として、“高在縦定位”や“低在横定位”のような異常が発生する場合があります。
高在縦定位
母体の骨盤入口の縦径と、児頭の矢状縫合*の向きが一致した状況で分娩が停止した状態をいいます。
骨盤入口部は横に長く胎児の頭は縦に長いため、胎児はスムーズに骨盤に進入できるよう骨盤入口部の横径と矢状縫合の向きが一致するように横向きになります。しかし、胎児が縦向きに進入すると分娩が停止することがあり、これを高在縦定位といいます。陣痛はきているものの、胎児の頭がうまく骨盤内に入っていかない場合は、高在縦定位が疑われます。
*人の頭蓋骨は複数の骨から構成されているが、胎児や乳幼児はつながっておらず、頭蓋骨の随所に隙間がある。このうち、左右の頭蓋骨が合う頭頂部直線状の隙間を矢状縫合という。
低在横定位
骨盤入口部が横に長いのに対して骨盤出口部は縦に長いため、分娩が進むにつれて通常胎児は回転して頭(矢状縫合)の向きを横から縦に変えます。しかし、児頭が骨盤出口部に達したにもかかわらず、児頭の矢状縫合が横を向いたままだと分娩が進まず停止します。この状態を低在横定位といい、吸引などによる分娩介入を行う必要があります。
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