かいせんいじょう

回旋異常

最終更新日
2017年04月25日
Icon close
2017/04/25
掲載しました。

概要

回旋異常とは、子宮内にいる胎児が何らかの理由によりうまく回旋ができない状態を指します。子宮内にいる胎児は、背中を丸めて顎を軽く引き、腕組みをしながら丸まるような姿勢をとっています。陣痛が始まって分娩時になると、狭い骨盤や産道を通るために少しずつ頭や体の向きを変えていきます。このときの胎児の一連の動きを回旋(かいせん)と呼び、回旋は4段階に分けることができます(第一回旋〜第四回旋)。

第一回旋から第四回旋までの間、胎児はなるべく負担がかからないよう体勢や体の向きを変え続けますが、何らかの理由でこれらの回旋がうまくできないことがあります。これを回旋異常と呼び、主に第二回旋の異常を指します。回旋異常をおこすと分娩に時間がかかるだけでなく、分娩停止をおこすことがあります。

回旋異常による最終的な胎児の向きによって、高在縦定位、低在横定位、後方後頭位などに分類されます。回旋異常は分娩開始前に予測することはできず、分娩が始まって、経過をみながら判断されることになります。すべての方に起きる可能性があり、明確な予防方法はありません。

原因

胎児側の問題として、巨大児(出生時4,000gを超える赤ちゃんのこと)や頸部腫瘍などが挙げられます。産まれつき体の形態(つくり)に異常があったり、腫瘍などがあったりする場合、分娩時の回旋に影響を与える可能性があります。

ほかにも母親側の問題が原因となることもあります。たとえば、低置胎盤や辺縁型前置胎盤(胎盤が通常より子宮口付近に付着している)、狭骨盤、羊水過多症子宮筋腫や骨盤内腫瘍(子宮内に筋腫のこぶがあることで回旋の邪魔になる)、直腸もしくは膀胱の充満などが原因になることもあります。また、分娩中の微弱陣痛が原因となり、うまく回旋ができないケースもあります。

症状

お母さん自身の症状は特にありません。しかし、回旋異常が持続すると、陣痛がきているのになかなか分娩が進行せず、結果として分娩時間が過度にかかる遷延分娩(せんえんぶんべん)(初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかっても生まれないこと)につながる可能性があります。最終的には、適切な時間内に出産に至らず、「分娩停止」という状態と判断されると、器械分娩(吸引分娩や鉗子分娩といって器具を用いた分娩方法)や緊急帝王切開術が必要になることもあります。

また、胎児も長時間の陣痛にさらされることで、徐々に体力を失い、低酸素状態になってしまう可能性があります。このときも、やはり胎児の状態を悪化させないうちに器械分娩や帝王切開術が必要と判断されることがあります。

検査・診断

回旋異常を診断するためには、胎児の頭や体の向きを判別する必要があります。出産前は直接胎児の様子をみることはできないため、通常は内診や超音波検査で判断します。また前述の通り、分娩時間や陣痛の強さなどから総合的に判断し、回旋異常が原因と推定される場合もあります。最終的な診断は、出産した後に決定されます。採血検査やレントゲン検査は、回旋異常の診断には用いられません。

治療

分娩前の胎児の回旋異常を強制的に修正して、正常な顔や体の向きに戻すことは容易ではありませんが、成功することもあります。もし微弱陣痛も伴っている場合、陣痛促進剤を投与することで陣痛を強め、産道を通過する際に自然な格好へ戻ることを期待する場合があります。ただし、これは直接的な治療方法ではないため、うまく戻らない可能性もあります。

産道を通過できない・児頭がうまく下がってこない・遷延分娩を避けられない・分娩停止と考えられる・胎児が苦しそう(低酸素状態)などの状況となった場合には、積極的な医学的介入として、器械分娩や緊急帝王切開術が選択されます。分娩の進行状況や、母子が元気かどうかをみて判断し、もっとも適切な方法を選択します。

医師の方へ

回旋異常の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。

この病気の詳細を調べる

「回旋異常」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

関連の医療相談が10件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。