ぶんべんていし

分娩停止

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

出産にあたって、「分娩の開始」とは、陣痛が起きたときを指します。陣痛の開始とは、「10分以内で、周期的な、子宮収縮に伴う痛み」と定義されています。一方で、「分娩の終了」は胎盤を娩出した時点を指し、一般的な分娩時間の上限は初産婦(初めて出産する女性)で約30時間、経産婦で約15時間と考えられています。

通常は、この上限時間内に出産となりますですが、陣痛が開始したのにもかかわらず、なんらかの理由で出産まで至らない場合があり、これを分娩停止と呼びます。分娩停止は、出産を控えている女性の誰にでも起こりうる状態であり、また事前の予測は非常に難しく、分娩がはじまってから診断されることになります。

原因

主な原因は、「胎児」、「娩出力」、「産道」の3つのカテゴリーに分類して考えられます。

まず「胎児」による原因としては、巨大児(4,000gを超えるような大きい胎児)、胎位異常(骨盤位:逆子など)、胎向異常(反屈位など)などが挙げられます。「娩出力」とは陣痛の強さと頻度のことを指し、微弱陣痛(分娩の進行には不充分な弱い・少ない陣痛)が代表的な原因になります。「産道」とは胎児が通過する母体の通り道(骨盤や腟など)のことで、ここでは胎児骨盤不均衡(CPD)、つまり胎児と骨盤の大きさのバランスが悪く、うまく通過していけないことが原因となります。

そのほかに、長時間の陣痛による母体の疲労や、無痛分娩が原因となって微弱陣痛となり、分娩停止が起こることがあります。

症状

分娩停止は、その言葉通り、陣痛が始まって分娩が開始したのに、出産に至らないということです。ご自身で「陣痛が弱くなってきたな」、「陣痛の間隔が空いてきたな」、「もう丸一日半経つけどお産にならないな」と感じることもありますが、通常は助産師または産科医が分娩の経過をみているはずなので、最終的には産科医が診断を決定することになります。

検査・診断

分娩停止に対する検査では、その主原因である微弱陣痛回旋異常、児頭骨盤不均衡があるか否かを確認することが必要です。通常、微弱陣痛の評価には、胎児心拍数陣痛図を使い、母体のお腹に小さな器械をつけて陣痛の持続時間や間隔を評価します。回旋異常の診断は、内診や超音波検査により行います。

また、児頭骨盤不均衡に対しては、お母さんの体格や胎児の推定体重等から総合的に評価します。こうして、医師や助産師による内診(分娩の進行具合の評価)、そして分娩開始からの経過時間などを総合的に考え、分娩停止かどうかの判断がなされます。

分娩停止の診断には、前述した「分娩の上限時間」を超える必要は必ずしもなく、「このままでは分娩が進まず、まず間違いなく正常な時間内には出産に至らないだろう」と考えられる場合にも、分娩停止と診断されることがあります。

治療

分娩停止となってしまった場合、胎児の頭が十分に下降していれば、器械分娩(鉗子分娩、吸引分娩)によって経腟的に出産できるよう処置を行います。

鉗子分娩とは、金属製の専用医療器械を使って、胎児の頭を挟むように固定し、陣痛のタイミングに合わせて医師が胎児の頭を引っ張ります。吸引分娩では、胎児の頭に半球状のカップを装着し、吸引力を利用して胎児の頭を引っ張ります。

もしこれら器械分娩でも出産に至らない場合や、胎児の頭の位置が高く、器械分娩が実施できない場合には、緊急帝王切開術が必要になります。帝王切開術を行う際には分娩のどの時点での分娩停止なのか、またその原因や、手術に伴う危険性などの説明がありますので、よく担当医の話を聞き、手術前に不明点は聞いておきましょう。

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