概要
変形性肘関節症とは、肘関節の軟骨が障害を受けることで、関節の変形や痛み、動きの制限などが現れる病気です。腕を酷使する労働者に多いですが、野球などのスポーツや細菌感染などが原因となることもあります。
肘関節を動かす動作に伴い痛みが増強しやすいため、日常生活に影響が及ぶこともあります。場合によっては手術が必要となるため、肘に違和感を覚える・肘がしっかり曲がらない、または伸びない、といった症状がある場合には早めに医療機関の受診を検討することが大切です。
原因
変形性肘関節症は、肘関節を酷使することが原因で発症することがあります。
たとえば、肘を酷使する仕事に従事し、肘に継続的に負担が生じることがありますが、この際の衝撃によって軟骨が損傷を受けて変形性肘関節症の発症につながることがあります。
また、肘関節に対して外力が加わり、骨折を起こした際に続発症として発症することもあります。その他にも、細菌などによる関節炎が原因となる場合もあります。
年齢を重ねると関節を構成する各部位がもろくなりますが、加齢的な要素も発症に関与することがあります。
症状
変形性肘関節症では、肘関節の痛みや腫れが現れます。肘関節を動かす動作と関連して、痛みは増強しやすいです。
また、変形性肘関節症では肘関節の可動性にも影響が及びます。肘関節をうまく曲げ伸ばしできなくなるため、日常動作に制限が掛かることもあります。
変形した骨によってこすれるため、尺骨神経が障害されることもあります。
検査・診断
変形性肘関節症は、レントゲン写真やCT検査、MRI検査といった画像検査を通して診断がおこなわれます。これら画像検査では、軟骨の損傷具合や骨棘の形成具合、靭帯や骨のすり切れ具合などを詳細に評価することが可能です。
自覚症状や身体診察に加えて画像検査から得られた情報ももとにして、その後の治療方針が決定されます。
治療
軟骨の損傷が一度生じると、元通りに戻すことはできません。そのため、変形性肘関節症が生じた際には、より早期に治療介入を行うことが重要です。治療方法は、手術を行わない保存的治療と手術が挙げられます。
保存的治療
肘周りの筋肉トレーニングやストレッチ、装具の着用などを行います。また、痛みが強い場合には、ステロイドや麻酔薬などを肘関節内部に注射することも検討されます。
スポーツや荷物の搬送など肘に負担がかかることで病状が進行するため、肘の安静を保つことも大切です。
手術
保存的療法が奏功しない場合には、手術的な治療介入が検討されます。
手術の方法としては、遊離体摘出術、関節形成術や人工関節置換術などいくつかあり、病状に合わせて術式を選択します。尺骨神経の障害、特に指の動かしにくさが出ている場合は早期の手術を検討する必要があります。
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