がいしょうせいのうないけっしゅ

外傷性脳内血腫

脳

目次

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概要

外傷性脳内血腫(がいしょうせいのうないけっしゅ)とは、頭部外傷によって、脳実質内に出血が生じたものです。

特に交通事故や転落などの高度なエネルギーのかかる外傷で起きることが多く、一般的に予後は悪い傾向にあります。急性硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血などを併発していることが多いです。

原因

高血圧などによって生じる脳内出血は脳の血管が破れて生じるものですが、外傷性脳内血腫の場合は、外傷によって脳挫傷(のうざしょう)が生じ、その周囲に出血が起こることが原因です。外傷の程度はさまざまですが、高齢者や血をサラサラにする薬を飲んでいる方は軽度の外傷でも発症することがあります。

また、受傷直後に血腫ができることもあれば、数日後にできることもあります。数日後に血腫が形成されるメカニズムは正確には解明されていません。たとえば、初期のCTではわからないようなわずかな脳挫傷から、じわじわと時間をかけて出血するという説や、経過中に全身状態が悪化し、血液凝固能が低下することによって発症するという説があります。

数日後に血腫ができる遅発性脳内血腫は高齢者に多く、命に関わることもあるため、慎重な経過観察が重要とされます。
 

症状

血腫が生じた部位や血腫の大きさ、他の脳内病変の有無によって症状は異なります。

神経症状

腫が生じた部位に応じ、麻痺や視野障害などの神経症状が現れます。

頭蓋内圧亢進症状(ずがいないこうしんしょうじょう)

脳内に大きな血腫ができると、血腫が脳を圧迫して脳圧が高くなります。その結果、激しい頭痛や吐き気、めまいなどの症状が引き起こされます。また、重度な圧迫が生じると脳ヘルニアを起こし、呼吸中枢がダメージを受けることで最終的には死に至ることもあります。
これらの症状は脳内血腫単独ではなく、急性硬膜外血腫など他の頭蓋内病変を合併するような高度な外傷で起こりやすいです。
 

検査・診断

脳内の血腫をみるには頭部CT検査が最も役立ちます。CTでは、出血部分が白く映り、出血している部分の周辺は脳挫傷により黒く見えることが多いです。CT検査では脳内血腫だけでなく、他の頭蓋内病変や脳ヘルニア兆候などを観察することもできます。このような情報は、重症度や緊急度の判断にも役立ちます。

また、受傷直後に出血が少なくCT検査では観察できないときには、MRI検査でFLAIR画像を撮影することがあります。FLAIR画像はCT検査では描出できないわずかな出血をとらえることができ、ごく軽度のくも膜下出血の判定にも用いられます。

治療

外傷性脳内血腫の治療は、血腫そのものに対する治療と頭蓋内圧亢進に対する治療にわかれます。

血腫除去術

脳内の血腫を取り除く手術です。ほとんどの場合は頭蓋骨に小さな穴を開け、血腫部分に針を刺して血腫を吸引します。しかし、血腫が大きい場合や脳圧が高い場合には頭蓋骨を大きく開いて、顕微鏡下で血腫を取り除くこともあります。

開頭減圧術

頭蓋内圧が亢進している場合には脳ヘルニアを発症する危険があるため、速やかに頭蓋内圧を下げる必要があります。そのために、頭蓋骨の一部を状態が落ち着くまで取り除く手術が開頭減圧術です。

また、同時に脳圧降下剤の投与も行われます。

他病変に対する治療

外傷性脳内血腫は他の頭蓋内病変を合併することが多くあります。特に頭蓋内圧亢進に関与すると考えられる病変に対しては、優先的に治療を行うことがあります。多くの場合は、同時に血腫除去術を行いますが、二回に分けて行われることもあります。