原因
外胚葉異形成症とは、皮膚や歯、毛髪など「外胚葉」と呼ばれる組織に由来する部位に異常を来たしている疾患を総括した病名です。精子と卵子が受精した受精卵は、しばらくすると、外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる三つの部分に分かれます。
外胚葉からは、皮膚、汗腺(汗を作ります)、皮脂腺(皮膚の脂を分泌します)、毛、歯、水晶体、内耳などが形成されることになります。外胚葉がこうした各種部位に発生する段階には数多くの遺伝子が関与していますが、遺伝子異常が存在すると発生段階に異常が生じ、外胚葉異形成症が発症することになります。
外胚葉異形成症のなかには、免疫機能に障害を受けるものもあります。現在までにNEMO(IKBKG)遺伝子とNFKBIA 遺伝子の異常が、免疫不全症を引き起こすことが報告されています。いずれの遺伝子も「NFκβ」と呼ばれるタンパク質を産生するのに重要なはたらきをしています。NFκβはDNAに結合することで、さまざまな種類の遺伝子のはたらきを調節をしており、特に免疫細胞に関連した炎症反応と深く関係しています。NEMO(IKBKG)遺伝子もしくはNFKBIA 遺伝子に異常が存在すると、NFκβに異常が生じることになり免疫不全が生じます。
遺伝子異常の生じ方はさまざまであり、障害を受ける部位もさまざまです。そのため、外胚葉異形成症では170種類以上の病気が存在することが知られています。免疫不全を伴う外胚葉形成異常症では、NEMO(IKBKG)遺伝子もしくはNFKBIA 遺伝子に異常が生じることになります。前者の遺伝子異常に関連した遺伝様式は「X連鎖性劣性遺伝」、後者に関連しては「常染色体優性遺伝」とそれぞれ呼ばれています。X連鎖性劣性遺伝形式では基本的に病気を発症するのは男性であり、女性が異常な遺伝子を有する場合は病気の保因者になります。常染色体優性遺伝形式では、両親いずれかが病気を有していると、次の世代に病気が理論上50%の確率で伝播することになります。
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