かんこつきゅうけいせいふぜん

寛骨臼形成不全

同義語
臼蓋形成不全
最終更新日:
2024年08月13日
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2024/08/13
更新しました
2019/01/15
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概要

寛骨臼形成不全とは、股関節(こかんせつ)の骨盤側の臼蓋(寛骨臼)というくぼみの形が異常なために、臼蓋に収まるはずの大腿骨頭(だいたいこっとう)という球状の骨が完全に収まらない状態を指します。

通常、骨盤と足は骨盤側にあるくぼみ状の“臼蓋”と、太もも側にある球状の“大腿骨頭”がしっかりとはまり込むことでつながっています。

しかし、寛骨臼形成不全では臼蓋の発育が悪く、くぼみが浅いために、そこに収まるはずの大腿骨頭を完全に覆うことができません。その結果、臼蓋などにかかる荷重負荷が大きくなり、股関節が不安定になります。また、過剰に負荷がかかることで関節の軟骨がすり減って、変形性股関節症に進行する事がわかっています。日本では、成人男性の0~2%、成人女性の2~7%が寛骨臼形成不全を含めた股関節の形成不全といわれています。女性に多い要因の1つに、股関節が男性よりも柔らかいことが挙げられます。

原因

寛骨臼形成不全の主な原因として、遺伝的な要因、胎児期の姿勢、出生後の生活習慣の3つが挙げられます。

遺伝については遺伝子解析が進み、寛骨臼形成不全を引き起こす原因遺伝子が判明しています。そのため親が原因遺伝子を持っている場合、子どもが受け継ぐ可能性があります。

また、赤ちゃんがお母さんの子宮内にいる間、正常でない胎位(頭が下向き以外の姿勢)であると寛骨臼形成不全が起こりやすくなります。

出生後においては、おくるみなどで赤ちゃんの股関節の動きを制限したり、横抱きやスリングを使用するなどして股関節や膝関節(しつかんせつ)を伸ばした姿勢を長時間続けたりすることも、寛骨臼形成不全の発症に関わると考えられています。

症状

寛骨臼形成不全では、臼蓋などへの荷重負荷が大きくなり股関節が不安定になりますが、若いうちは股関節のクッションの役割を担う軟骨が厚く保たれているため、ほとんどの場合症状を自覚することはありません。

しかし、加齢に伴い筋力が落ちて体重が増えてくると、軟骨がすり減り“変形性股関節症”に進行することが多くあります。軟骨がすり減ると臼蓋と大腿骨頭の変形が進み、痛みなどが出てくるようになります。

変形性股関節症になると、起き上がるときや歩くときに股関節に痛みを感じ、日常生活に支障が生じることがあります。

検査・診断

寛骨臼形成不全は、X線検査(レントゲン検査)による診断を行います。赤ちゃんの場合には、家族歴や性別、出生時の胎位なども判断材料にします。

また寛骨臼形成不全があっても無症状で経過し、変形性股関節症に進行することがありますが、変形性股関節症においても通常X線検査で診断します。

治療

寛骨臼形成不全の治療の目的は、変形性股関節症への進行を防ぐことです。治療法として、保存療法と手術があります。

早期で症状が軽い場合には、まずどのような動きや姿勢で痛みが強くなるのかを把握し、そのうえで悪化させないよう心がけることが大切です。また、必要に応じて鎮痛薬の服用や杖の使用、股関節周りの筋力低下を防ぐために運動療法を取り入れます。このような保存療法を行っても症状が改善しない場合には、手術を検討します。

手術方法としては、主に骨切り術と人工股関節置換術があります。若年で軟骨が十分に保たれている場合には骨切り術を選択します。関節の変形が進行し軟骨が消失している場合や高齢者では人工股関節置換術を選択します。

骨切り術には様々な術式があり、股関節にかかる負荷の軽減を目指します。一方、人工股関節置換術では、傷ついた股関節を人工の関節に置き換えて安定させます。

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