概要
尿道異物とは、尿道内に本来は存在しない異物(針や鉛筆など)が入り込んだ状態を指します。多くの場合は、主に自慰行為や性的虐待が原因で発生します。
無症状のこともあれば下腹部や陰茎部の痛みなどの症状が現れることもあります。治療では、可能であれば鉗子を用いて尿道から異物を取り除く処置を行います。膀胱内にまで異物が混入している場合には、手術的な摘出も検討されます。
原因
尿道異物とは、尿道内に本来は存在しない異物が入り込んだ状態を指しますが、多くの場合は、主に自慰行為や性的虐待が原因で発生します。尿道内に挿入される異物は実に多岐に渡りますが、タンポンやペッサリーなどが原因となるケースもあります。また、きわめてまれな例ですが、尿失禁の手術のために尿道の周りに埋め込んだバンドが尿道を貫通するケースもみられます。
症状
無症状のこともあれば何かしらの症状が現れることもあります。たとえば、下腹部や陰茎部の痛みなどがあります。陰茎部に炎症を起こすこともあり、腫れや赤みなどを生じることもあります。
また、排尿時に痛みや違和感を覚えることや、尿道の粘膜が傷つけられることから、尿に血液が混じることもあります。そのほか、頻尿や尿意切迫感、残尿感、発熱などの症状がみられることもあります。
尿道異物が生じてから時間経過が長いと、異物によって尿道損傷が強くなることが懸念されます。膀胱内に異物が迷入してしまうことや、尿道や膀胱などが突き破られてしまうこともあります。
検査・診断
まず、外陰部を詳細に観察することにより、異物が尿道に存在している状況を確認します。また、レントゲン写真によって異物が確認できることもあります。
そのほか、CT検査や超音波検査などの画像検査を行います。これら画像検査により、尿道内の異物を確認すること、さらには異物が膀胱内に存在していないかどうかを確認します。
治療
可能であれば鉗子を用いて尿道から異物を取り除く処置を行います。膀胱内にまで異物が混入していることもあるため、その場合には全身麻酔下での手術的な摘出も検討されます。
尿道異物が摘出された後も、膀胱内を含めてどこにも異物が取り残されていないかどうかを確認するために、膀胱鏡での確認を受けることも大切です。
尿道異物は、多くの場合自慰行為や性的虐待などの状況と関連して発生しますが、羞恥心が先立つことから現状を詳細に説明するのをためらうことがあります。しかし、こうした問診内容は早期の診断に際して重要であるため、医療機関で状況をしっかりと説明することが大切です。
さらに、医療機関受診までの時間が遅れると異物が尿道に留まらずに膀胱内にまで入ってしまうリスクや尿道や膀胱が強く傷つけられることも懸念されます。排尿に関連した後遺症を残してしまうことも考えられるため、早期に治療を受けることが大切です。
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