治療
手掌多汗症では、まず外用薬による治療やイオントフォレーシス治療が行われるのが一般的です。そのほかの治療として、注射による治療や手術などがあります。
外用薬による治療
塩化アルミニウム外用薬を手のひらに塗布します。重症の場合には外用薬を塗った後、ポリエチレンフィルムなどで覆って密封するODT療法(密封療法)が行われることもあります。
イオントフォレーシス治療
水道水の入った容器内に手のひらを浸し、10~20mAの弱い電流を流す治療法です。通電する際に生じる水素イオンが汗腺に作用して発汗を抑えるとされ、手掌多汗症に対して非常に有効です。
1回30分の治療を10回前後行うと発汗量が減ってきます。効果を維持するには、その後も1週間に1~2回行うのがよいといわれています。
注射による治療
手のひらに2cm間隔でボツリヌス菌毒素を注射し、発汗を促す交感神経のアセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑えることで発汗を抑制します。
この治療を行うことによって1週間程度で発汗量が減少し、効果は約6か月持続します。ただし、現在のところ保険適用外とみなされています。
手術
全身麻酔下で腋の下から内視鏡を挿入し、内視鏡を見ながら多汗の原因になっている胸部の交感神経を遮断します(内視鏡的胸部神経遮断術)。
手掌多汗症における有効率はほぼ100%で、もっとも効果のある治療です。しかし少なからず体に負担がかかるほか、術後の合併症として代償性発汗(手のひら以外の場所の発汗が多くなる)が高頻度に起こります。
そのため、一般的に内視鏡的胸部神経遮断術は重症の患者で保存的治療による十分な効果が得られない場合に検討されます。
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