概要
歯肉線維腫症とは、歯肉に過度な増殖が生じ、慢性的に歯肉が肥大化する病気です。歯肉の増殖は上下の顎全体にわたることが多く、治療は手術による切除しかありません。
歯肉の増殖部分には歯周病による炎症が生じやすくなります。
非常にまれな病気であり、発症は若年者が多く、男女差はないとされています。歯が生え始めるころに発症することが多いですが、発症から病院受診までの期間には個人差があり、なかには成人してから診断されることもあります。
原因
歯肉線維腫症は、遺伝性歯肉線維腫症と特発性歯肉線維腫症のふたつに分類されています。歯が生えると同時に発症したり、症状が悪化したりするケースが多いことから、歯が生えるときに生じる何らかの刺激が発症の引き金になるとも考えられています。内分泌疾患が関与しているとの報告もあります。
また、もともと口腔内の衛生状態がよくない場合には、歯肉の増大がより顕著になる傾向にあります。
症状
歯肉が肥大化します。多くは、歯茎の一部分だけでなく、上下の歯肉全体が肥大化します。また、歯が生える際に発症することもあるため、歯と歯の間に隙間が生じる歯間離間や、歯並びの悪化を生じることもまれではありません。肥大した歯肉は炎症を起こしやすく、ときに痛みや発赤、出血などを生じることがあります。
検査・診断
歯肉線維腫症は、病理検査により確定診断が行われます。病理検査では、肥大した歯肉の一部を採取して、顕微鏡を使った観察が行われます。
また、口腔内のパノラマレントゲン、CTなどの画像検査によって、歯や顎の骨の状態を評価します。パノラマレントゲンとは、歯、顎骨を含む口腔全体を映し出すことができるレントゲン撮影のことです。
治療
この病気の治療では、肥大化した歯肉を手術によって切除します。しかし、歯肉線維腫症は切除しても再発しやすい特徴があります。また、歯周病などの口腔内衛生状態が悪い場合には、歯肉の肥大が進行しやすいとの報告があります。そのため、再発や悪化を防ぐ目的で、歯肉切除の手術の後も長期間にわたる定期的な口腔衛生管理が必要です。
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