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生理的黄疸
子宮内から母体外へと移行する新生児期は、呼吸や循環など、身体の様々な面において外界への適応が求められる時期と言えます。外界への適応過程の例の一つとして、生理的黄疸を挙げることができます。新生児期...
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皮膚

生理的黄疸(せいりてきおうだん)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

子宮内から母体外へと移行する新生児期は、呼吸や循環など、身体の様々な面において外界への適応が求められる時期と言えます。外界への適応過程の例の一つとして、生理的黄疸を挙げることができます。新生児期にある程度の黄疸を見ることは、どの赤ちゃんでも見られる自然現象であるため、このことを生理的黄疸と呼びます。

黄疸を呈する赤ちゃんの中には、何かしらの病的な誘因が存在するために、異常な黄疸を呈することがあります。病的な黄疸を放置すると、脳性麻痺や難聴などといった重篤な神経系の合併症を呈することになります。したがって、生理的に見られる黄疸であるのか、病的な黄疸であるかを見極めることはとても重要であると言えます。

原因

出産を契機にして新生児は外界への環境へと順応する必要性が求められ、生理的黄疸もその過程の一つとして認める現象と言えます。言い換えると、黄疸とは「ビリルビン」と呼ばれる黄色い物質が血液中に多く存在している状態から発症しますが、ビリルビンはどの赤ちゃんでも高くなりやすい傾向にあると言えます。

赤ちゃんは、子宮内において低酸素の環境に暴露されていますが、低酸素の環境中でうまく生存するために赤ちゃんの赤血球には成人にはない特徴が備わっています。第一には、胎児期においてはそもそもの赤血球の数を増やすことで、より効果的に酸素運搬を行えるようなになっています。赤血球が多い状況を「多血(たけつ)」と呼びますが、出生間もなくの赤ちゃんは多血の状況で産まれることになります。

また、酸素運搬には「ヘモグロビン」と呼ばれる物質が重要な役割を担っていますが、子宮内で胎児が使用するヘモグロビンと、成人が有するヘモグロビンは異なった特徴を持っています。すなわち、胎児のものも成人のものもどちらも酸素を運搬するという重要な役割を担っていますが、胎児のヘモグロビンの方がより低酸素環境において効果的に働くことができるようになっています。

しかし、出生後には、赤血球はそれほど多く必要にはなりませんし、ヘモグロビンも外界に適したものへと変換する必要性が出てきます。そのため、出生と共に赤血球が破壊され、ヘモグロビンを作り替えるといった変化が生じることになります。ビリルビンはこうした過程で産生される物質であり、したがって、赤ちゃんにおいてはビリルビンが高くなる、すなわち黄疸を認めやすいことになります。

さらに、ビリルビンは肝臓において代謝され消化管へと排泄されていますが、肝臓の機能がまだまだ未熟である点や、肝臓・消化管でのビリルビン移動も成人のそれとは異なっている点なども、新生児において黄疸を発症しやすい理由となっています。

生理的黄疸は、通常生後24時間以降に始まり、2週目までには収束します。しかし、例えば生後24時間以内に黄疸を認める、生後2週間以降に黄疸がある、ビリルビンの上昇スピードが異常に速い、等の場合は生理的黄疸の範疇を超えており、黄疸を来している原因疾患の検索が求められます。

症状

生理的黄疸は、血液中にビリルビンが高くなることから発症する黄疸がメインの症状になります。生理的黄疸を認めやすい部位は、眼球結膜(白目に当たる部分です)です。日数を経るにつれて徐々に黄疸は強くなる傾向にあり、眼球結膜以外にも体幹などの皮膚にも黄疸症状を見ることがあります。

生理的黄疸が強くなると、病的な黄疸に至るようになります。黄疸はさらに手や足の裏など身体の末梢でも見るようになります。ビリルビンが高くなると眠たくなることから、傾眠傾向になることもあります。これに付随して哺乳力の低下や吸啜力の低下を見ることもあります。

検査・診断

生理的黄疸では、出生後から継続的に黄疸の指標であるビリルビンを測定することになります。ビリルビンの測定方法としては、皮膚を通してビリルビンの値をチェックする「非観血的方法」と、採血による「観血的方法」が存在します。

生理的黄疸では、黄疸の経過として「生理的」として許容できるビリルビンの絶対値、上昇スピード、黄疸の発症時期などが存在しています。黄疸の具合、ビリルビンの値を経時的に確認することで、生理的な範疇を超えた病的な高ビリルビン血症が発症していないかどうかをモニタリングすることになります。例えば、生後24時間以内に高ビリルビン血症を認めるのはそれだけで異常ですし、生後2週間を超えても黄疸を認める場合も生理的なものとは言えません。母乳育児なのかミルクなのかでも黄疸の経過は異なっており、生理的黄疸の範疇を超えた際には、黄疸を来している原因疾患が何か存在していないかの原因検索が行われることになります。

治療

生理的黄疸と判断される以上、治療の必要性はありません。生理的な黄疸の範疇を超えた場合には、原因検索を行いながら、同時に黄疸の治療を行うことになります。病的な黄疸が持続すると、結果的に核黄疸といった病気を発症するリスクを伴うようになるためです。病的な黄疸に対しては、光線療法や交換輸血などと言った治療方法がとられることになります。